「善良な銀行」は投資してはいけない人に投資をやめさせる

〈投資してはいけない人〉
1 10年以上、手を付けずにおいておける資金がない
2 投資をするのに目的など必要ない。とにかく儲かれば良いと思っている
3 信頼性の高そうなもうけ話には耳を傾ける
4 投資の手法について理解しているつもりでも、自分で何をやっているか、たまに分からなくなる
5 資金を1年後に2倍に増やしたい
6 投資のリスクとは元本割れや値下がりのことで、そのようなリスクは取りたくない
7 元本割れだけは絶対に嫌だ
8 証券会社または銀行の担当者のアドバイスだけを頼りにして売買している
9 今後の価格が上がるとか下がるとかの、将来の予測ができるかが重要である
10 「利回り10%で元本割れなし」の特別キャンペーン商品を勧められたら迷わず購入する
11 理屈を淡々と説明する担当者よりも、儲かりそうな商品をいろいろと提案してくれる担当者のほうを好む
12 手数料はなるべく安いほうが良いが、利益が出るならあまり気にしない

心と懐に余裕がなく、儲けたいというガツガツした気持ちが強い人は、投資に向いていません。そこで、無用なトラブルを防ぐために、このリストをおおよそ頭に入れて、銀行の窓口担当者や支店長などと相対する方法をお伝えしましょう。

例えば、(1)は、「10年以上、手を付けずにおいておける資金がある」ことが投資をしていい人の条件ということですが、これに関して、自分自身で「年金暮らしで毎月預金を取り崩して生活しているので、いずれこの投資した額にも手を付けることになりそうだ」と心の中で思うのなら、そのことを正直に銀行の窓口の相手に伝えるのです。

それに対して、銀行側から「それならば、そもそも大きな額を投資信託に投資することはできません。元本割れもやむを得ない、というのであれば話は別ですが」といった回答が返ってきたら、それはアタリです。お付き合いしていい担当者でしょう。

同じように(2)に関して、自分の本音が「投資の目的など特にない。少しでも儲かればそれでいい」というものなら、それを伝えます。アタリの回答はこちらです。

「そうであればやめましょう。やみくもに儲けることだけを考えるのは危険です」

つまり、「私は投資してはいけない人物だ」と自ら開陳したにもかかわらず、それにとりあわずに投資を勧めるような銀行なら、絶対やめたほうがいいということです。

 

5枚の1万円札
写真=iStock.com/zepp1969
※写真はイメージです

自ら開陳するのではなく、前出の「投資してはいけないリスト」をご挨拶に来られた支店長に渡して、次のようにいうという手もあります。

「あなたの支店の担当者に投資信託を勧められたのだけど、私は『投資してはいけない人』かもしれないので、この12項目について私に向かって質問してください。そして私の答えを聞いたうえで支店長がお勧めの投資信託を買ってもいいかどうか判断してください」

12項目別に具体例を示しましたので参考になさってください。