「うまく伝わらない」悩みに効く一冊

第2位は、『〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術』でした。

三谷宏治『〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術』(三笠書房)
三谷宏治『〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術』(三笠書房)

一瞬で大切なことを伝える技術――「そんな技術があるなら、ぜひ身につけたい!」と思う方も多いでしょう。特にリモートワークやオンライン会議が一般的になってきている今では、「言いたいことがうまく伝わらない」「相手の言っていることがよくわからない」というシーンが増えているはずです。

本書で紹介されるのは、自分の言いたいことを伝え、相手の言いたいことを引き出し、さらなる意見交換や議論を生むための方法です。その根幹にあるのは「重要思考」という、ロジカル・シンキング(論理思考)の手法。「重要思考」を使えば、自分の頭の中をうまく整理し、それを伝え、相手の話を聴き、議論することができるのだと著者はいいます。

ロジカル・シンキングと聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、「重要思考」は意外とシンプル。「そのことがどれだけ重要か?」という「重み」と、「それは他とどれだけ差があるか?」という「差」で考えればいいのです。本書ではこの「重み」と「差」の考え方を、さまざまな場面にあてはめて具体的に説明されます。

本書のターゲットは「ロジカル・シンキング挫折経験者」。ロジカル・シンキングと言われると逃げだしたくなってしまう方も、ぜひ手に取ってみてください。

できる営業は「モーレツ」に働かない

第3位には、『できる営業は、「これ」しかやらない』がランクインしました。

伊庭正康『できる営業は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)
伊庭正康『できる営業は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)

本書の著者は、リクルートグループの営業として全国トップ表彰を4回受賞し、現在は独立して年間約200回の営業研修を行う伊庭正康氏。本書はそんな伊庭氏が、「できる営業」になるためのアプローチを紹介しています。

「できる営業」というと、どんな人をイメージするでしょうか? 朝から夜まで新規開拓のために外出をし、オフィスにいる間は常にテレアポをしている――そんな“モーレツ”なビジネスパーソンを想像するかもしれません。

しかし本書で提案されるアプローチは、そうしたものとは対照的です。そのうちの一つが、「エクセルを使い営業先をグループ分けすることで、アプローチ先を厳選する」というもの。営業リストのセグメンテーション(グループ分け)を行い、効率の悪いクラスターをリストから削除していく方法が指南されます。

コロナ禍では、訪問数を増やすなどといった昔ながらのアプローチだけで着実に営業成果を残すのは難しいもの。本書を読んで、時代に合った営業スキルとはどんなものか、今一度考えるチャンスとしてみてはいかがでしょうか。