「ヤングケアラー」が追い詰められるのは容易に想像できる

家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行なっている18歳未満の子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれる。国が4月に発表した調査結果では「公立中学2年生の5.7%、公立の全日制高校2年生の4.1%」が世話をしている家族がいると回答したそうだ(2021年4月12日「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」取りまとめ報告)。

20代だった私はヤングケアラーには入らない(ただ、30代までは支援が必要とされる若者ケアラーと呼ばれる)。しかし、20代の私でもこれだけ追い詰められたのに、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちがどれくらい追い詰められているのか。介護と言っても、その内容はさまざまで、私の体験から憶測で全てを語るなんて絶対にできない。でも、きっと追い詰められてしまうはずだ。

きちんとした支援がなければ子どもらしい生活は脅かされる。進学を諦める子もいるはずだ。夢を諦める子もいるはずだ。それ以前に遊ぶことを諦める子がたくさんいる。そしてそもそも子どもはケアを受ける側の存在であり、支援は絶対必要だと感じる。

空を見上げる女の子
写真=iStock.com/hanapon1002
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SOSを出す前に支援する仕組みが必要だ

子どもたちは自分からSOSをほぼ出さない。虐待児もそうだが、ケアラーもそうだ。だから、子どもがSOSを出したら動くという形ではなく、学校、病院、行政、専門団体それぞれが縦割りではなく連携してヤングケアラーを見つけて支援する、消極的ではない、積極的な支援をしてほしい。

また、支援方法の確立も早急に必要だと感じる。埼玉県は昨年3月、全国で初めての「ケアラー支援条例」を施行した。こういった動きを全国に広げるべきだろう。

母は今も生きている。最初にシャイ・ドレーガー症候群の予後を知らされた時、頭を殴られたような気持ちになったが、言われていた年数より10年以上長く生きているのだ。母の笑顔で全て報われる気持ちになる日もたくさんあったし、母が生きている、そのことが嬉しい。シンプルに、大好きな人が生きてくれているのは、私にとって幸福で嬉しいことだ。

そして、今もヘルパーさんにたくさん力を借りている。今、私が追い詰められていないのは、大人になり知識がついたこと、そしてヘルパーさんのおかげだ。今こうやって私が夢であった書き仕事をしたり、子どもを育てたりできるのもヘルパーさんのおかげなのだ。介護職に関わる人の待遇が良くなることを切に願っているし、声を上げ続けようと思っている。そのことについてはいつかしっかり書きたい。

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