巣ごもり需要で、男性同士の恋愛を描いたBL(ボーイズラブ)マンガが好調だ。ブームの源流は1970年代、漫画家・竹宮惠子さんが世に出した『風と木のうた』。しかし竹宮さんがこの作品を世に問うまではたいへんな道のりがあった。ジャーナリストの知野恵子さんが聞いた――。

電子コミックの販売冊数は前年比154%増

竹宮惠子『扉はひらく いくたびも』(中央公論新社)
竹宮惠子、知野恵子『扉はひらく いくたびも』(中央公論新社)

BLマンガが売れている。リアル店舗と電子のハイブリッド書店「honto」が3月末に発表したデータによると、BLマンガの販売冊数は紙・電子合計で前年比131%増、電子は154%増となった。

合わせて「BLに関する意識調査」も実施したところ、読みたくなるのは、「リフレッシュ/ストレス発散したいとき」と8割以上が回答、「脳や心に甘い糖分がほしいなと思うとき」「寝る前にご褒美として」という答えもあった。BLの魅力は、「性別、年齢、立場を問わず楽しめる」が約6割と最も多く、「現実逃避ができる」「壁を乗り越える愛にときめく」「自分にまったく関係ない世界なので良い」などと続いた。BLを買い始めた年齢では「10代」が約半数を占め、若い世代が手に取っていることが分かる。

構想は7年にもおよんだ

BLはマンガの世界にとどまらず、マンガを原作にした実写映画、テレビドラマなどさまざまな表現手段へと発展を続けており、話題に事欠かない。今年1月には、ヤマシタトモコさんの『さんかく窓の外側は夜』(リブレ)の実写映画が公開された。よしながふみさんが講談社のマンガ雑誌「モーニング」に連載中で、テレビドラマ化もされた『きのう何食べた?』の実写映画も、今年公開される予定だ。

大学の研究者によるBL研究も盛んで、昨夏には、六法全書や法律関連書籍の発売で著名な有斐閣が『BLの教科書』(堀あきこ関西大他非常勤講師、守如子関西大教授編)を出版し、話題になった。

BLは一つのジャンルとして定着した感があるが、1970年代に『風と木の詩』が少女マンガ誌に掲載されるまで、竹宮惠子さんは7年もの日々を費やすこととなった。筆者が3月に上梓した『扉はひらく いくたびも』(中央公論新社)には、その様子が描かれている。