ダルビッシュ有「すべての球をすべての投手が投げられるように」
4月14日に放映された『クローズアップ現代+』(NHK)のインタビューで、ダルビッシュは以下のように語っている。
「こういう(投げ方の)ミスをしたら、こういう(ボールの)回転軸になるとかがどんどんわかってきて、それでメモをし続けて、自分が投げている球がなんとなくイメージしやすくなって、さらにいろんな球を投げられるようになった。ちゃんとした正解があるので。絶対、変化球って」
「誰かが投げられているという事は、自分でも同じような体の動きをしたり、ボールのどこに、どういうふうな形で力を与えるか、どういうふうに出してくるかということをわかれば、それは誰だって投げられる球なので。そこをより言語化して、具体的にして、すべての球がすべての投手に投げられるようになるのが僕の夢」
SNSで日々の感想をささやくだけでなく、こうした“有益”な情報を公開することで、業界全体のレベルがアップする。自分のことだけでなく、業界全体を底上げし、ファンをもっと楽しませたい。そうした利他の心がダルビッシュの価値をより高めている。
東京五輪男子マラソン日本代表内定の大迫傑(Nike)も、自身の公式アプリをリリース。有料ながら最新ニュースはもちろん、オリジナルコンテンツとして自身のトレーニングの様子などをみることができる。こうしたアスリートのSNSでの発信は今後も増えていくだろう。
テレビでは格闘家ユーチューバーが大活躍「稼ぎは……」
ユーチューブに関しては、ダルビッシュ超えのアスリートもいる。
最近はテレビのバラエティ番組では、朝倉未来、朝倉海、那須川天心、シバターというユーチューブで人気を集める格闘家の出演が目立つ。彼らのメインチャンネル登録者数は順に、177万人、91万人、65万人、121万人となっている。
面白いのはアスリートとしてのキャリアや知名度では劣るスポーツ選手がユーチューブの世界では“下剋上”を起こしていることだ。特に、シバターは格闘家としての戦績(総合格闘技は7勝9敗1分け)はさほどではないが、ユーチューバーとして名を上げて、テレビでも活躍するようになった。SNSから顔と名前を売った形だ。
コロナ禍で多くのアスリートがユーチューブに“参戦”しているが、動画で儲けるのは簡単ではない。まずユーチューブの収益化には、「チャンネル登録者数1000人」「公開動画の総再生時間4000時間」という2つの条件をクリアしなければならない。
一般的には「1再生あたり0.1円前後」が目安だといわれている(実際は1再生あたりの広告収入は幅がある)。つまり1万回の再生で約1000円の収益になる計算だ。
株式会社BitStarが開発したインフルエンサーマーケティングの分析ツール「Influencer Power Ranking(IPR)」によると、日本国内の【2020年総括 チャンネル総再生数】では朝倉未来が3億0363万回で20位。スポーツ選手ではトップだった。
ユーチューブを駆使してファンを増やして、アスリートとしての“価値”を高めていくという新たな流れができている。