特に「若者と女性」が自ら命を絶っている
警察庁の調べによると、2020年の自殺者数は2万1081人で、前年より912人増加した。
09年以降、一貫して減少し続けていた日本における自殺者数が、11年ぶりに増加に転じたことになる。
特徴的なのは男性の自殺者は19年よりも減少した一方で、女性の自殺者数が増えていること。
そして、50代以上の高齢者の自殺者数が減少傾向にある一方で、40代以下の自殺者数が増えていることである。
特に60代が107人減少しているのに対し、20代は404人増加している部分は目を引く。
いわば「若者と女性」が自殺に追い込まれているのである。
20年と言えば、やはり新型コロナウイルスの影響を無視して何かを語ることはできない。自殺が増えた原因はここにあるのだろうか?
飲食店主の自殺者数は減少している
当初新型コロナウイルスの問題が報じられた20年の上旬は例年を下回るペースであった。しかし、後半から徐々に自殺数が増え始め、10月に増加した。このあたりは緊急事態宣言など、数カ月で事態が収束すると思われた新型コロナが、収束しなかったことに対する失意があったのかもしれない。
また、新型コロナの影響で、飲食店などの営業が大幅に制限された。ならば当然自営業者、特に飲食店主の自殺が増えているだろうと考えた。
しかしデータを見ると2019年の飲食店主の自殺者数は134人だった一方で、2020年の飲食店主の自殺者数は92人。自営業全体としても、19年が1410人に対して20年が1266人と、新型コロナの影響があった今年のほうが減っているのである。
飲食店主の自殺者数が減っている一方で、学生・生徒の自殺者数は増えている。19年は888人だったのに対して、20年は1039人だった。
さて、こうしたデータをどのように読み解くべきだろうか。
まず、若者と女性中心に自殺者数が増えていることには、思いつく論点がある。