皆勤賞が日本から消え去る日

つまり、皆勤賞が存在することで、患者さんも私たちも診察・治療という医療とは全く異なる次元で大きなエネルギーを使わなくてはならないのです。皆勤賞がなくなれば、こうしたトラブルは解消されるでしょう。検査結果に関わらず、体調が悪いときはしっかり休ませることが感染症のまん延防止対策として基本的かつ重要なことであり、むしろ、子どもたちが「具合が悪いときは早めに身体を休め、回復を心がける」という、当たり前で現実的な健康管理を身につける機会になります。

幸いなことに、陰性証明ありきの皆勤賞のリスクは、今回のコロナ禍で広く知られる事実となりました。コロナ禍以前も、皆勤賞を取りやめる動きがなかったわけではありませんが、それはあくまでも学校単位の散発的なものでした。今回のように公立学校で同時に取りやめるという動きは、戦後初めてではないでしょうか。医療者として、また3人の子どもの父親として、皆勤賞が日本から消え去る日が待ち遠しいところです。

学校の都合に親が合わせる空気は消えていくはず

コロナ禍で学校の体制も大きく変化しようとしています。今後はオンライン授業や少人数学級、そして不登校の子どもに学習機会を提供するシステムが充実していくでしょう。オンライン授業が普通のカリキュラムになれば、不登校の子どもの選択肢を増やすことにもつながり、それこそ「学習の多様性」が拡がりそうです。

たとえば、その子のリズムや習熟度に合わせて週の3日は普通に学校に通い、残りは自由な時間に自宅学習で済ませるなど、柔軟な対応ができるようにもなるでしょう。学習の達成度は、一斉テストや課題提出などで確認できますよね。こうしたシステムが当たり前になれば「皆勤賞」や「学校の都合に親が合わせるべき」という“空気”はすぐに消えてしまうはずです。