トリチウムは世界各国でも海洋放出で処理している

東京電力福島第1原子力発電所の敷地内に溜まる「処理水」が海洋に放出されることが4月13日、正式に決まった。

廃炉作業が進められている東京電力福島第1原子力発電所の敷地内に並んだ処理水を保管するタンク=2021年2月14日、福島県[時事通信チャーター機より]
写真=時事通信フォト
廃炉作業が進められている東京電力福島第1原子力発電所の敷地内に並んだ処理水を保管するタンク=2021年2月14日、福島県[時事通信チャーター機より]

処理水は吸着剤によってトリチウム以外の大半の放射性物質は除去されている。さらに海水で薄め、飲んでも無害とみなされる国際基準よりもさらに引き下げる。東電は2年後の2023年を目途に放出を開始し、放出の期間は30年以上となる。

トリチウムは原発の通常の運転でも発生し、取り除くのが難しいため、世界各国の原子力施設は海洋放出によって処理している。人体や魚介類などに与える影響は極めて少ないとみられている。それにもかかわらず、日本の海洋放出のニュースが伝わると、中国と韓国はすぐに強く反発した。

海洋放出をあえて問題視する中国と韓国

中国外務省の趙立堅(ジャオ・リージエン)副報道局長は13日、記者会見で「無責任なやり方だ。日本の国内問題にとどまらない。周辺の国々の利益を大きく損なう」と述べ、対抗措置を取ることを示唆した。

韓国も具潤哲(ク・ユンチョル)国務調整室長が13日の記者会見で「絶対に容認できない。最も近い国であるわれわれ韓国との協議と了解がない。一方的な決定である」と語った。しかも韓国外交省はこの日、相星孝一・駐韓大使を呼びつけて憂慮の意まで伝えている。

しかも中韓は、事故直後から日本の農水産物の輸入を厳しく規制している。

一党独裁国家の中国は、習近平(シー・チンピン)政権が沖縄県尖閣諸島の領有権を巡って一方的に日本を非難し、領海への不法侵入を何度も続けている。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は徴用工や慰安婦の問題で日本との関係を悪化させたにもかかわらず、折り合いをつけようとはしない。沙鴎一歩は、こうした中韓の非常識な言動について何度も指摘してきた。

中国も韓国も、国際社会の中で自国の主張や立場を有利に展開しようと、日本の処理水の海洋放出をあえて問題視している。それはIAEA(国際原子力機関)やアメリカが日本の海洋放出を支持していることからも明らかだ。