自己資本比率は、自己資本÷総資本で算出する。これが高ければ返す必要のないお金が多い、つまり健全性が高いということ。株の発行による増資は自己資本としてカウントされる。増資額が大きいほど自己資本比率をアップできるのだ。

ちなみに、日本企業の自己資本比率の平均は約33%(金融・保険を除く)だが、銀行は現行の新BIS規制で自己資本比率は8%以上。なぜ8%以上かという合理的な理由は、実はない。単なる“目安”である。

今後、どのような規制が加わるのだろうか。

「具体的な基準はまだ議論の最中ですが、金融危機が深刻化したのは、銀行の自己資本が充実していなかったからとの反省に立ち、“資本の質”を高めるものになりそうです」(同)

現行の規制では、自己資本比率8%のうち、普通株や優先株などで構成する「中核的自己資本(TierI)」を4%以上とする必要がある。新規制では、TierIのうち、普通株と内部留保に限る「狭義の中核的自己資本(コアTierI)」を新たな基準として設け、その一定比率以上の確保を求めている。

そのコアTierIを4%以上とするのでは、との憶測も流れ、メガバンクは増資でコアTierIの比率を高めたのだ。格付け会社のフィッチ・レーティングスの調べでは、09年12月末時点でのメガバンクのコアTierIは、MUFGが7%、SMFGは6.5%、みずほは3.5%となっている。

「基本的に12年末までを目標に新規制の枠組みを導入し、10年程度かけて段階的に実施していくとみられています」(同)

これで銀行の健全性が高まり、マネーの暴走、ひいては金融危機を防げるのであれば、誠に結構な話なのだが。