医師もデータに乗っかって「楽」をしていないか?

医者のほうも、データばかり見ていると、確率的にあなたはこうだから、この治療が最善です、終わり。というようなことになってしまいます。

本当は治療しながら仕事を続けたいとか、家族との関わりとか、患者個人の事情をよく聞き出して、それに沿って治療方針を決めることが大事なのです。中川さんはそういうタイプの医者ですが、データに乗っかって楽をしている医者が圧倒的に多いような気がします。

統計的データは、あくまで判断材料の1つです。今後、医療システムの中にAIが本格的に入ってくるはずですが、事情は変わりません。

もしも最終的な判断をAIに預けるような医者が出てきたら、どうしようもありません。

身体の状態から情報化されるのはほんの一部

身体がある状態を示す要因は複合的です。健康診断や人間ドックで、まったく異常が見つからなかったのに、突然倒れてしまうことがあります。

血圧とか血液検査の数値とか、身体の状態から情報化されるのはほんの一部です。だから、予想外の病気が見つかることがあります。私のような胸の激痛がまったく出ない心筋梗塞もその1つでしょう。

数値に目を奪われていると、健康のためにはそれだけが重要なことのように思われてきます。健康診断に一喜一憂する人は、この罠にはまっているといえます。

もちろん、私のように健康診断を受けないことを勧めるわけではありません。ただ、データさえ見ていれば病気にはかからない、という論理にとらわれないようにする必要はあると思います。なかなか難しいことではありますが。