事故から10年、福島原発の3大問題

東日本大震災、そして福島第一原発の事故から10年が経過した。2021年2月の地震の影響か、福島第一原発1号機と3号機の原子炉格納容器内の水位の低下が続いていると東京電力から発表があった。「燃料デブリの冷却は継続できている。外部への影響も生じていない」と梶山弘志経済産業大臣は述べているが、福島原発の廃炉作業は10年経っても不安定な状態が続いていて、先行きが見えない。それどころか先延ばしにされてきた廃炉やトリチウムなどの課題は、一向に解決策が見えず深刻さを増すばかりだ。

福島第一原子力発電所事故から10年。
福島第一原子力発電所事故から10年。(毎日新聞社/アフロ=写真)

福島原発が抱えている課題を大別すると3つある。1つ目は廃炉の難しさ。構造的には原子炉内部は完全に破壊されているはずだが、正確な実態は今もわからない。メルトスルー(炉心の溶融貫通)した燃料デブリに近づけば近づくほど放射線量が高くなるので、遠隔ロボットやカメラを投入してもすぐに劣化して壊れてしまうのだ。

原発事故の1週間後に「メルトダウン(炉心溶融)どころかメルトスルーの可能性が高い」と私がYouTubeで指摘したように、溶け落ちた核燃料(デブリ)は炉心を突き抜けて直下の底に固まっている。米スリーマイルや旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で言うところの「象の足」状態になっている可能性が高く、塊の中心部を冷やすのは非常に難しい。事故発生当初は再臨界(核反応が再び始まること)が恐れられていたが、私は再臨界が起きたほうが望ましいと発表していた。核反応が臨界に達して再爆発すれば、象の足もバラバラになって冷やしやすくなるからだ。