- 【第1回】「洗脳するまで目的は伝えない」起業を夢みてセミナーに通った20代女性の悲惨な末路
- 【第2回】「月20万円でカビだらけのシェアハウス住まい」起業を夢みる若者を狙う洗脳の実態
- 【第3回】「高級外車でタワマンに送り…」起業志望者を地獄に落とすマルチ勧誘の手口
マルチ商法などの悪徳商法は、どのようにして構成員を集めているのか。ライターの雨宮純氏は「その手法はカルト集団と類似しており、手口が分かっていても簡単には抜け出せない。勢力は拡大しており、幕張メッセに約3000人を集めて、有名芸能人のネタ披露を催したこともある」という——。(第4回)
「君ら、何かの宗教とちゃうよね?」
「君ら、何かの宗教とちゃうよね?」
大規模コンベンションセンターのステージでは、テレビでよく見る若手芸人がネタを披露した後、こう不安げに茶化して、参加者約3000人の笑いを取る。これは悪徳商法集団の「環境」で開催されている「全体会議」の一コマだ。
「初回参加のDさんです! 意気込みをどうぞ!」
別のプログラムでは、ステージ上に会員が立ち、求められるままに一言メッセージを述べる。すると、約3000人の構成員たちが異常にも思える拍手で祝福する。
この連載で取り上げている悪徳商法集団の「環境」では、多額の上納金や不衛生なシェアハウス、激しい勧誘といった負担を構成員に強いている。このような負荷を掛けながらも大勢に所属させ続けるため、「環境」ではセミナーで繰り返し承認を与えて動機付けを行っている。
本稿では彼らのセミナーと、そこで与えられた承認により団体の活動を手伝わせる「プロジェクト」という名のタダ働きの実態について迫る。なお、前回と同じく元会員への取材をもとに構成している。