例えば、ネットフリックスのシリーズ「SONG EXPLODER」は、ジャーナリストがアーティストの作曲のプロセスをインタビューにまとめたポッドキャストが原作となっている。また、アマゾンプライムのドラマ「モダン・ラブ」も、元はニューヨーク・タイムス紙のポッドキャストから生まれた作品で、それがドラマ化されヒットした。
他にもポッドキャスト発のストリーミング番組は数多く、この手法はマスメディアから大きく注目されている。日本のヒット作(特にストーリー)のソースがマンガであることも多いように、アメリカの重要なソースの1つは音声メディアと言ってもいいかもしれない。
つまりクラブハウスが主要メディアとして化けるためには、ポッドキャストと同じようにコンテンツメーカーのような、よりクリエイティブを追求する存在になることだ。
招待制の変更、ヘイトスピーチの規制…課題は山積み
実際に、アメリカのクラブハウスでは「オーディオ・コレクティブ」という部屋が誕生した。ここでは面白いオーディオ・コンテンツ・クリエーターを集めて育成したり、スポンサー企業とのマッチングなども行ったりするという。
チケットを販売してのイベント開催も視野に入れているようだが、これはおそらくライオン・キングのようなミュージカル上演などのエンタメ・コンテンツを考えているのだろう。クラブハウス上にセレブがそろうエキサイティングなイベントも、音声だけなら低コストかつスピーディーな開催が可能だ。
サブスクによる課金などを実験的に行いたいと表明しているのも、プロフェッショナルで魅力的なコンテンツがあってこそ成立すると言っていい。ここで気になるのは、スポティファイがライブのポッドキャスト機能を開発すると発表したことで、このあたりが最大の競合になってきそうな気配だ。
もちろん、これ以上ユーザーを増やすためには、招待制の見直しやAndroid版での使用を可能にする必要がある。一方でセキュリティーの問題やヘイトスピーチなど、言論の自由を巡るソーシャルメディアならではの問題もすでに発生している。
TikTokのような優れたアルゴリズムも必要になり、課題は山積みだが、それでもクラブハウスの未来が期待されるのは、やはり音声メディアに魅力を感じるアメリカというお国柄があるのは間違いない。