株価引き上げができなければ、多額の国民負担が発生する恐れ
さらに、残る4兆円の除染費用は国が持つ東電株の売却益で返すことにしている。今の東電の株価は400円台だから、4兆円に見合うには、約5倍の1500円程度まで株価を引き上げる必要がある。しかし今の収益力では株価の大幅な上昇が見込めない。
株価引き上げができなければ、多額の国民負担が発生する可能性がある。この批判を避けるためにもJERAの上場は東電HDが是が非でも成し遂げたいところだ。
「通期の業績見通しも出せない今の状態では国有化脱却なんて夢のまた夢だ」(東電HD幹部)。閉塞感が漂う東電HDでは「最後は柏崎刈場などの原発再稼働しか解決策はない」との空気が蔓延し始めている。原発が一基動けば年間1000億円近くの収益が上がるためだ。
結局、「原発頼みの体質は東日本大震災から10年たっても変わらない」(東電HD幹部)。脱炭素=原発再稼働となることが、日本のエネルギー政策の「解」なのか。
東電HDの再建は国にとっても重い課題を投げかける。