「家出したい」の投稿に、10分で20人の男から反応

2019年、大阪の小学校6年生の女児の誘拐事件は記憶に新しいでしょう。家出願望のあった少女は、SNSで知り合った男の家で監禁されていました。しかも、場所は大阪から遠く離れた栃木県です。

自宅近くの公園で待ち合わせ、はるばる栃木まで連れ出されたのです。結局、少女が靴も履かずに逃げ出し、交番に逃げ込んで無事保護されました。

SNSで「#家出」「#神待ち(神=家出して困っている少女が泊まる場所や食事を提供してくれる大人のこと)」と発信すると、大人たちが群がってきます。

私が捜査一課にいたころ、中学2年生の女の子が家に帰ってこないと、ご家族から届けがありました。ご両親に協力していただき、その女の子のネットの利用状況を調べたところ、ゲームの掲示板に「家出したい」と書いてありました。

驚いたのは、それに対する反応です。なんと10分間で、約20人の男から反応があったのです。

「助けてあげるよ」「協力するよ」「迎えに行ってあげるよ」

こんな甘い言葉をかけてきます。

スマートフォンを操作する若い男性の手
写真=iStock.com/bombuscreative
※写真はイメージです

「俺、誘拐していませんよ」という男たち

女子生徒はそのうちの一人の大学生と連絡を取り、車に乗っていました。結果的に女子生徒は無事保護されましたが、彼女は最後まで「大学生はいい人」だと言っていました。一方、大学生は「性交渉が目的だった」とはっきりと供述しています。

また、2019年10月、ツイッターに家出願望を書き込んだ14、15歳の少女3人を自分のところに来るように誘い出し、借家に住まわせるなどした男が、「未成年誘拐」の罪で逮捕された埼玉県の事件もありました。

「未成年者誘拐」で捕まった男たちは、ほとんどが「俺、誘拐していませんよ」といいます。でも、子どもを連れまわしたことを認めた時点で、未成年者誘拐です。

14歳未満を親(保護者)の承諾なしに連れ出したら、子どもが自分の意思で来たにせよ、「未成年者誘拐」になります。これを犯罪者はもちろん、親も知らないことが多いのです。

ちなみに16歳以上18歳未満でも親の承諾なしに深夜(夜11時〜早朝4時まで)に連れ出した場合、青少年保護育成条例の違反になります。

「#淋しい」「#自殺したい」といった書き込みの女子高生を探して自宅に連れ込み、性犯罪を犯すのも代表的な手口の一つです。