こうしたアウンサンスーチー氏の生きざまについて、ナインさんは、「家族よりも国のために自分の人生を捧げている女性。そして今もなお、ミャンマーの民主主義を実現するために努力されている」「軍政下の60年間に滞ってしまった経済の遅れを取り戻すためにも活動している」と高く評価している。

民主政治が取り戻せた過去5年間はナインさんにとっても楽しい日々だったようだ。

「私自身、民主化のおかげで外国への留学もできました。国民の意見を尊重、安全に生活できたという実感があります。わずか5年間にミャンマーも大きく発展できました。ミャンマーの民主政治を維持するのに、アウンサンスーチー氏の存在が必要不可欠だと強く思います」

民主化で海外留学や就職をしやすくなった

アウンサンスーチー氏は2012年、議会補欠選挙で当選。念願のミャンマー議会へとたどり着いた。

ミャンマー
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軍政からの民政移管により、現地の一般市民はもとより、国外でも「暗黒の時代が終わった」と安堵が広がった。その後は、日本を含む各国が競って「アジア最後のフロンティア」と評されるミャンマーへの投資が積極的に行われてきた。外国からの投資にも後押しされ、かつての軍事独裁時代と比べ、社会の様子は一気に変化したという。

ナインさんは、軍政の終結後、こんな点に目覚ましい変化があったと語る。

最も顕著だったのは、欧米諸国による経済制裁解除で、国外企業がミャンマーに進出し投資が増えたこと。

「外国から来るお金のおかげで経済が一気によくなりました」

また、民主化の恩恵で自由が得られたのは大きな前進だった。「昔は、政治の話をすると捕まえられ殺される恐れがありました。しかし、民政移管後は発言が自由にできるようになり、怯えることなく日々の生活が送れます」

外国への出入りも簡単になったという。「昔は軍人の家族などしかできなかった海外留学が、より簡単に実現できるようになりました」。そのほか、道路の整備が進むことで交通の便がよくなった、就業機会が増えて就職が楽になった、といったメリットが次々と生まれた。つまり、ミャンマーの国民たちは、アウンサンスーチー氏率いる民主政党NLD政権下の社会となり、かつてない国の成長を目にすることができた。