「うつ病は治療可能な、十分に治る可能性がある病です」
——誰もが「もうダメだ」「もう逃げられない」などと追い詰められる精神状態に陥りやすくなっているということですね。やはり、「もうダメだ」という思考になりかかったら、医療機関に受診という方法がベストでしょうか。医療に頼っても、自殺願望を持つ人を救うのは限界があるのではないか、とも思いますが……。
【鹿目医師】確かに、医療を頼る人の中でも自殺者が多いのは事実です。しかし、医療に頼る前に自殺される人はもっと多いのです。医療を頼っても、完全に防ぐことは到底叶いませんが、かといって医療は無力ではありません。
繰り返しますが、うつ病は治療可能な、十分に治る可能性がある病です。
また、同時に知って頂きたいことがあります。精神科や心療内科には医師や看護師の他、精神保健福祉士や心理士など、経済的問題に専門的な知識を持つ人や、話を聴くスペシャリストが多くいます。病気に関する様々な制度などもアドバイスしてもらえますので、是非、相談して頂きたい。
医療につながりさえすれば、そこからは経済的にも心理的にも、様々な側面から助けになるサポーターたちがチームとなって、あなたの力になるはずです。
もし、自死が頭のどこかによぎっているならば、なおの事、そのチームにあなたを支えさせて欲しい。そのためにも、医療機関を受診することをためらわないでとお願いしたいです。どうか、自ら死を選ぶなどという悲しい選択をしないでください。自殺はしても、させてもいけないのです。
——そうですよね……「生きてさえいれば、なんとかなる」ということを信じたいです。
後編(2月2日公開予定)では、「大切な人を失いたくない」という私たちに何ができるのかを教えて頂きます。