「クソどうでもいい仕事」の5類型

グレーバーは『ブルシット・ジョブ』のなかで、「クソどうでもいい仕事」は主にどんな仕事をしている人か、次の5種類に分けて分析しています。

①取り巻き(Flunkies)
②脅し屋(Goons)
③尻ぬぐい(Duct Tapers)
④書類穴埋め人(Box Tickers)
⑤タスクマスター(Taskmasters)

①「取り巻き」とは、「誰かを偉そうに見せたり、偉そうな気分を味わわせたりするためだけに存在している仕事」のこと。日本語で言う、いわゆる「太鼓持ち」というやつですね。

②「脅し屋」は、ロビイストや企業弁護士、広報などに代表されるような、「雇用主のために他人を脅したり欺いたりする要素をもち、そのことに意味が感じられない仕事」と定義しています。要は、企業弁護士も広報も、競合する企業が雇っているからその対策のためだけに存在しているような仕事というわけです。

③「尻ぬぐい」とは、「組織のなかの存在してはならない欠陥を取り繕うためだけに存在している仕事」です。

④「書類穴埋め人」は、「組織が実際にはやっていないことを、やっていると主張するために存在している」仕事です。

③や④の存在によって、組織は問題があるにもかかわらず、抜本的な改革が行われなくとも、なんとなく存続してしまうことになります。

そして、⑤「タスクマスター」は、「他人に仕事を割り当てるためだけに存在し、ブルシット・ジョブをつくりだす仕事」と定義されています。まさにこれが、9割のいらない中間管理職なのです。

承認するだけ、挨拶するだけの中間管理職

それではいらない中間管理職、使えない中間管理職とはどんな存在でしょうか。私の経験から考えると、一言で言えば、ただ「承認して、報告して、挨拶するだけ」中間管理職です。

部下が「連休をください」と言えば、すぐに承認する。「今日は早く帰らせてください」と言えば「いいですよ」とただ承認するだけ。

書類に押印する手元
写真=iStock.com/greenleaf123
※写真はイメージです

また、部下に資料を作らせ、報告させて、それをただチェックし、上司に報告するだけ。それが必要な資料かも判断せず、ただ時間を穴埋めするために仕事を作って、それをチェックし、気に入らなければ部下に作り直させる。

しかもその判断基準は自分の好みに合うか合わないか。なんのためにその資料が必要なのか、本当に部下に一から作らせる必要のあるものなのかも判断しないので、自分の好き嫌いしか基準にありません。

そうやって作った資料を、今度はたださらに上の上司に報告として持っていくだけ。

上司にとって、そんな報告は本当はいらないかもしれない。けれども、せっかく時間をかけて作ってきたんだから受け取ろうということで、目を通してはみるけれども、腹の底では「こんなもの作りやがって」と思っているのではないでしょうか。その仕事が必要かどうかも判断せずに、ただ資料を作って報告するだけなのです。

あるいは、取引先を訪問しても、なにか売り込むでも、新しい事業の提案をするでもなく、単に挨拶するだけの中間管理職です。