今でも、野外でのスポーツ、また、その観戦などで日焼け止めを使わない人が多い。オーストラリアでは考えられない行動である。
オーストラリアでは幼児の頃から日焼け止めクリームの塗り方など、紫外線をいかにシャットアウトするか、その方法が教えられている。
それは、南極上空のオゾン層が破壊され、より多くの紫外線が降り注いでいるからである。
もちろん、同様なことは日本にもいえる。そのため、皮膚ガンの患者は、この10年で10倍以上に増えているといわれている。
代表的な皮膚ガンには、「基底細胞ガン」「有棘(ゆうきよく)細胞ガン」「メラノーマ(悪性黒色腫)」「パージェット病」がある。
この中で、最も紫外線の影響が大きいのが有棘細胞ガンで、顔にできることが多い。
あたかもイボのように盛り上がり、やがて大きくなる。イボのようとはいえ、形はそれほどすっきりしたものではなく、ガサガサして盛り上がり、潰瘍になることもある。
体を外界から守っている皮膚は、表面から表皮、真皮、皮下組織の3つの層からできている。
その表皮の角化細胞がガン化したのが有棘細胞ガンである。このガンはリンパ節、肺などに転移するので、早期に発見することが大事である。
ただ、ありがたいことにこのガンには“前ガン状態”といわれる表皮内ガンの段階がある。前ガン状態といえども“ガン”であるが、この段階で発見されれば治療は簡単に終わってしまう。
その前ガン状態には、「日光角化症」や「ボーエン病」がある。
日光角化症は顔にできる。赤い発疹で、それもカサカサしていて多発する。
ボーエン病は顔や手のみならず、胸などいろんなところにできる。紅色だったり、黒褐色だったりして、やはりカサカサした状態になる。
日光角化症は何個もできるので、治療は抗ガン剤の軟膏を塗るのがスタンダードである。このほか、炭酸ガスレーザーで焼いたり、ケミカルピーリングで皮膚を薄くはがすのも有効である。
有棘細胞ガンの場合は、生検といって皮下組織を取ってガン細胞の有無を調べる。さらに、超音波、CT検査で切除範囲を決める。
有棘細胞ガンの治療は、手術が基本となる。ガンが大きいので患部を切除した後、植皮するケースが多くなっている。今は放射線療法、化学療法も効果が高くなっている。
食生活のワンポイント
有棘細胞ガンは紫外線が大きく影響しているので、UVカットのクリームを塗って肌を守るのが1番の予防法。さらにUVカットのメガネで眼を守り、UVカットの洋服で、やはり肌を守るのがおススメ。
この予防法とともに、食事では抗酸化物質をしっかりと摂取すべき。抗酸化物質には、紫外線がつくり出す活性酸素を除去する効果があるからである。
●ビタミンEを摂ろう!
抗酸化作用が強く全身機能の低下を予防する。多く含まれる食品はアーモンド、ピーナツ、キウイフルーツ、タラコ、卵、ホウレン草、カボチャ、レモンなど。
●ビタミンCを摂ろう!
ビタミンCにはビタミンEのパワーを最大限に引き出す力がある。野菜、果物に多く含まれ、特にブロッコリー、ニガウリ、小松菜、レモン、ジャガイモ、トマト、ミカン、大根などに注目。
●ビタミンAを摂ろう!
ビタミンAは上皮細胞の免疫力を高める。鶏・豚・牛レバー、卵、牛乳などに多く含まれている。
このトリオは“抗酸化ビタミントリオ・ACE(エース)”と呼ばれている。