ユニコーンたちが市場に現れるとき起こること
注目されているユニコーン企業こそはまさにバブルの象徴でもある。本来、利益を生まない会社には誰も興味を示さない。しかし、バブルになった瞬間、皆が「その会社は希少で唯一無二」と思いこみ、こぞって投資をし始める。
だからといって、その会社に本当の価値が生まれる訳ではない。しかし、魔法がかかったかのようにお金だけが集まってユニコーンたちの株価は非常に高い評価額になる。それこそが悪夢の始まりなのだ。ユニコーンなど存在しない状況こそ、バブルではないときで冷静に投資ができる。
今のようにあちらこちらに魅力的に見えるユニコーンが存在する時代は、相場が過剰になり過ぎる。5年前には、ユニコーンという言葉すらあまり聞くことはなかったが、今はありとあらゆるタイプのユニコーンがたくさん存在する。これはまさに文字通り現実とかけはなれたファンタジーの世界である。しかし現実はいつかしっぺ返しをしてくる。本当のおとぎ話と違って、最後にハッピーエンドが待っているはずがないのだ。
いつの時代も変わらないバブル破裂の兆し
過去の過熱相場を振り返ると、1960年代には会社の名前に「Computing」が入っていれば、毎日のように株価が上昇した。89~90年には日本と何らかの関係を持っている会社の株価は絶好調だった。さらに90年代には「Internet」に少しでも関係している会社の株価は急騰していた。
そしてこんなときこそ皆がおかしなことを信じる。89~90年には、アメリカでも「日本人は普通の人ではない」と言われていた。
私は「日本人はパンツを片足ずつ履くのか? そうであれば彼らは普通の人たちだ」と言ったが、誰も信じてくれなかった。バブル時には、毎回「今回は違う、今回こそ本物だ、君はわかっていない」と皆が口を揃えて言う。現実世界では何も新しいことなど起こっていないのに、だ。
バブルの時はいつも同じなのだ。それまで投資などほとんどしたことがなかったような人たちがいきなり今の仕事を辞めて株のブローカーになりたがったり、歯医者の受付の人が株投資について話したがる。それがバブル破裂の兆しなのだ。
そして、そんなときにこそ、ユニコーンは危機のサインとしておとぎの国から現実の世界にふらりと姿を現す。