失敗から立ち直るにはマインドフルネス瞑想、アップルやグーグル実践
「サンクコストバイアス」については、世界が注目するトップMBAスクールの「INSEAD(インシアード)」が研究を行っています。最新の研究結果では、「サンクコストバイアス」を回避するためには、その原因となっている過去へのこだわりを手放し、「過去ではなく今の自分に目を向ければいい」ということがわかっています。
費やしてきたコストを見てしまうと、もったいないという心理が働いてしまいますが、それを回避するために、今ここにある自分自身に注目し、過去と今を切り離していく必要があるのです。
また、INSEADのゾーイ・キニアス准教授は、その効果的な方法として、「マインドフルネス瞑想」を推奨しています。
このマインドフルネス瞑想は、アップルやグーグル、フォードなどの大企業も社員研修の一環としても取り入れていて、僕自身も習慣化しています。
ここではマインドフルネス瞑想のやり方について詳しく説明するのは割愛しますが、軽く目を閉じ15分程度「いま、ここ」の状態に意識を集中し瞑想を行います。
たったそれだけのことで、過去を忘れ、未来に目を向けて、長期的に良い選択ができるように思考を変化させることができるのです。瞑想を行うことで「いま、ここ」に集中する能力が高まり、「もったいない」「これだけコストをかけたのだから今さらやめられない」といった負の感情を手放すことができるようになります。
もちろんマインドフルネス瞑想は、「サンクコストバイアス」だけでなく、集中力や客観力の向上、自己抑制、リラックス効果など、さまざまなメリットがあるので、トレードをする前などにも非常におすすめです。
ビジネスとは異なり「TTP(徹底的にパクる)」でも勝てないのが投資
さて、「サンクコストバイアス」に陥らない方法に続いて、気をつけていただきたいことをお伝えします。「TTP」という言葉をご存じでしょうか?
ビジネス書や自己啓発書でよくでてくる言葉ですが、「徹底的にパクる=Tettei Tekini Pakuru」を略して、TTPと言われています。
ビジネスでうまくいっている企業や成功者の行いを完全に真似していくという手法で、それこそが成功への最短ルートである、とよく紹介されているのです。これは投資の世界にも当てはまるのでしょうか?
トレードでも「うまくいっている人の手法を真似る」、つまり「他人の手法を真似る」ことが手っ取り早いと思う人もいるかと思いますが、実は相場ではそういったことは難しいのです。
もちろん僕自身も、ネットや書籍などで手法やテクニックを参考にすることはありますが、外から得た知識とそれまでに自分がインプットしてきた知識や経験をアレンジした上で投資判断を行っています。
単純に「移動平均線のゴールデンクロスで買いでエントリーする」とか「RSIの数値が30%以下だから買いでエントリーする」といったことなら真似をすることもできるかもしれませんが、実際そういった取引では継続的に利益を上げることはできません。
なぜなら、投資で大切なことは、常にトレードをしながら「自分の頭で考える」ことだからです。