春休み前に突然の一斉休校が始まり、新年度になっても都心部では休校が続いた。他の先進国ではオンライン教育が進められた一方、日本で同時・双方向型のオンライン指導をしていたのは公立小学校の8%、公立中学校の10%にとどまり、多くは大量のプリント配布で授業をカバーしていた。混乱の中、学校現場では何が起こっていたのか、東京都内の公立小学校教員、庄子寛之さんに話を聞いた――。
自宅学習に飽きてしまった少年がふてくされている
写真=iStock.com/x-reflexnaja
※写真はイメージです

突然の一斉休校、学校現場の戸惑い

私は当時、都内の公立小学校で5年生の担任をしていたのですが、2月27日木曜日の夜の報道を受けて、「週末から一斉休校」ということを知りました。全国の教員、校長、教育委員会も同様だったと思います。事前に何も知らされていない状況での突然の発表でした。

その時は、「2週間くらい後には再開されるだろう」「遅くとも4月には通常に戻るだろう」と考えていました。3月は教員にとって最も忙しい時期です。当初は、休校中に通知表や指導要録、次年度計画などを作成することができて、通年より業務がはかどったという声もあったくらいです。

「春休みが少し早まった」と受け取った保護者や子どもたちも多かったようですが、私は「子どもたちが1カ月も学習の機会を失う」という状況をなんとかしなければと思いました。模索する中で、ICT活用やプログラミング教育などで先進的な取り組みをしている、都内の別の公立小学校の蓑手章吾先生にお願いして、クラスの様子を見学させてもらいました。Zoomを使って子どもたちをつなぎ、「朝の会」をしていたんです。