脳は何でできているのか
脳のエネルギーとは何でしょうか。脳のエネルギーといえば、多くの人が糖質と答えるのではないでしょうか? 実は、むしろ糖質を過剰に摂ることで低血糖症状からうつ症状をおこす人が少なくないのです。
糖質を過剰摂取すると血糖値の急激な乱高下が起こり、集中力が途切れ、切れやすくなったり、急に眠気がさしたり、日常の仕事やパフォーマンスに支障をきたしたりします。
脳にとって最適な栄養は、脳の構成成分を見ると分かります。
脳は水分を除くと約40%がたんぱく質、約60%が脂質でできています。その脂質の約50%がコレステロール、25%がリン脂質、25%がドコサヘキサエン酸(オメガ3脂肪酸)です。このことを知れば、これらを多く含む食材が脳のエネルギーとして良いのが理解できるでしょう。
脳の構成材料であるたんぱく質、コレステロール、リン脂質、オメガ3脂肪酸、すべての栄養素を含むのが、卵です。特に、たんぱく質は量より「質」が重要とされていますが、卵は口から毎日とらなければならない必須アミノ酸(たんぱく質の材料)がパーフェクトに含まれる、脳にとっても人体にとっても必須の食材といえるでしょう。さらに、卵黄の脂質には脳にとって必要なコレステロールとリン脂質とオメガ3脂肪酸がバランスよく含まれています。
「コレステロール=悪」という誤解
栄養学の言葉は、ギリシャ語が語源になっているものが数多くあります。たんぱく質であるプロテインは「一番大切な物」という意味を持ち、リン脂質の一種、レシチンは「黄卵」を意味します。
レシチンはマヨネーズの乳化にも活用される天然の乳化剤です。体内で水と油をなじませる役目があり、余分なコレステロールを排泄する働きがあることも分かっています。
コレステロールやレシチンは神経系のシグナル伝達に関与し、記憶、認知の機能の向上を助けます。特に、レシチンは神経伝達物質であるアセチルコリンのもとにもなるため、メンタルダウンかなと感じた方は意識的にそれを含む食品の摂取は必要です。
過去には「コレステロール=悪」という誤解がありました。1913年、ロシアの病理学者ニコライ・アニチコワがうさぎに酸化コレステロールを投与し、動脈硬化を発症させたことからコレステロールが問題視されたのです。しかし、うさぎは草食動物で、そもそも、コレステロールを分解ができないため、そのような結果になるのは当然です。実験自体に疑問を呈するドクターがいなかったのが不思議ですが、それが卵が悪者になった原因でした。