海外メディアで注目を集める眞子さまの結婚

先日、「日本のプリンセスにとって、おとぎ話のような結婚は遠い先のこと(For Japanese Princess, Fairy-Tale Wedding May Be Distant Prospect)」という見出しの記事をニューヨークタイムズで見つけた。秋篠宮さまが眞子さまと小室圭さんの結婚についてご自身の誕生日の会見で「認める」という発言をしたことについての記事だが、2人の今までの経緯を紹介するとともに、1月に王室を離れると宣言し、同じく自国の王室と不協和音をだしているイギリスのハリー王子とメーガン妃についても触れていた。

2018年5月、結婚式のあと馬車でパレードするハリー王子とメーガン妃
写真=iStock.com/AdrianHancu
2018年5月、結婚式のあと馬車でパレードするハリー王子とメーガン妃

なぜ日本のプリンセス眞子の結婚は前に進んでいないのか?(Why has wedding of Japan’s Princess Mako still not gone ahead?)」という記事を掲載したのはイギリスのガーディアン紙。記事は、「2人は大学で出会い、大陸と海を隔て離れ離れになっているにもかかわらず、2人の心の絆は明らかに今まで以上に強まっている。しかし、彼らのウェディングベルの音は3年前よりもさらに遠のいている」といった書き出しで始まる。こんなふうに眞子さまと小室さんの結婚をめぐる話は、海外からも注目されているのだ。

王室に挑戦したダイアナ妃

香港のサウスチャイナ・モーニングポストにいたっては、「反旗をひるがえす王室メンバーたち:ダイアナから日本のプリンセス眞子まで。王室のしきたりを破って自分たちのルールで生きる5人のお姫様たち(Rebel royals: From Diana to Japan’s Princess Mako, 5 princesses who broke royal protocol and lived by their own rules)」というなんとも挑発的な見出しの記事とともに眞子様の写真がダイアナ妃、そしてナイジェリアのケイシャ妃とともに大きく掲載されていた。

ダイアナ妃はイギリス王室の暗黙のルールである「不満を言わない、説明しない」ということを守らず、メディアに彼女の出産後の鬱と過食症について語り、王室に挑戦した女性として取り上げられていた。眞子さまの結婚については、「プリンセス眞子の一般人との結婚は婚約発表後2年以上たってもまだ波紋を広げている」と記事はつづっている。最近の報道だけをとれば、眞子さまは海外でかなり有名な日本のプリンセスになっているようだ。

「負け犬の最後の大物」だった紀宮さま

自国に王室があるせいか特にイギリスのメディアは、日本の皇室についての関心が高い。そんな海外からの皇室報道は、日本が海外からどう見られているかのヒントになるだけでなく、日本の現状、そして未来を、時には日本のメディアより、はっきり表現していると感じることがある。

たとえば、2006年に紀宮さま(現在の黒田清子さん)がご結婚された時、海外メディアが強調したのは36歳のプリンセスの結婚が時の日本社会をいかに反映しているかということだった。

もっとも印象的だった論調は、「紀宮さまは結婚によって負け犬ではなくなる(A 'loser dog' no more.)」というもの。当時、ベストセラーだった酒井順子氏の著書「負け犬の遠吠え」の中で、独身だった紀宮さまが「負け犬の最後の大物だ」と書かれていたことにひっかけ、いくつかのメディアがこんな表現で報道していたのを覚えている。それらの記事によると、ひと昔前はこの年齢で結婚ということは考えられなかった。だからこの結婚で、日本の30代の多くの独身女性たちは、「結婚するのには、まだ遅くない」と勇気づけられたのだと。

あれから10年以上たった今、30代で結婚する女性は多い。40代での結婚ですらもはやそう珍しいものではなくなった。