アジア最大級の歓楽街、新宿・歌舞伎町はどのような街なのか。歌舞伎町でホストクラブやバーなどを経営する手塚マキ氏は、「歌舞伎町で働く人や遊ぶ人は、それぞれのテリトリーを持っている。相互に監視し合う文化ができているため、世界一安全な繁華街だと感じる」という——。

※本稿は、手塚マキ『新宿・歌舞伎町』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

歌舞伎アーチ
写真=iStock.com/Ray Lai
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23年にわたって歌舞伎町の街を見てきて思うこと

歌舞伎町は世界一安全な繁華街である。私はそう思う。ただ、そう思ってはいない人がかなり多くいる。

私は1997年からホストとして歌舞伎町の人間になった。ホストクラブのキャストから経営側にまわり、「Smappa! Group(スマッパグループ)」の会長として歌舞伎町でホストクラブやバー、美容室などを経営している。2017年からは歌舞伎町商店街振興組合常任理事を務めている。ホスト時代から23年にわたって歌舞伎町の街を見てきた。体感として「歌舞伎町は世界一安全な繁華街」と思うようになったきっかけは2002年のことだ。

50台の防犯カメラが歌舞伎町にやってきた。警視庁生活安全部が繁華街に防犯カメラを大量に設置したのは歌舞伎町が日本で初めてだった。暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の効果が出てきたという面もあると思うが、我々住人たちは飲み屋で「雨の日に傘をさすと防犯カメラに写らないから怖い人が街にたくさんいるらしいよ」なんて噂するくらい、防犯カメラの監視を信頼していた。それは同時に、自分たちも悪さをしたらすぐ捕まるという認識の共有でもあった。

さらに、歌舞伎町の防犯カメラは警察が設置するものだけではない。1階にあるお店は大体自店で防犯カメラを付けているのだ。店の種類によって目的はそれぞれにあるとは思うが、道行く酔客が起こすトラブル、あるいは自店で起きるトラブル回避のためなど、基本的には抑止力としての効果が強いと思う。実際にダミーのカメラもたくさんある。