東大生の親はほとんどが高収入という現実
日本学生支援機構が2018年に発表した「学生生活調査」によると、大学生がいる家庭の平均世帯年収は、国立で841万円、公立730万円、私立834万円となっています。
また、世帯年収1000万円以上の家庭の割合は、国立29.2%、公立20.3%、私立25.7%です。
かつては、お金持ちの子どもは私立の一貫教育校へ進み、お金がない家庭では大学進学などをあきらめ、その中でとくに優秀な若者は苦学の末に国公立大学を目指すという構図がありました。
しかし、今はすっかり逆転し、平均年収が高い家庭では、国立大学に進む割合が高くなっています。
ここでさらに日本の最高学府である東京大学について見てみましょう。
東京大学が行った2017年の「学生生活実態調査」によると、東大生の家庭の平均世帯年収は918万円です。調査年が違うため単純な比較はできませんが、先の「学生生活調査」によると、2018年の大学生がいる家庭の平均世帯年収は830万円となっています。
さらに、教育社会学者の舞田敏彦氏が調べたところでは、東大生の親の場合、世帯年収950万円以上に占める割合が62.7%もあったそうです。一般的な45歳から54歳の男性の場合は12.2%ですから、いかに東大生の親がお金持ちかがわかります。
青年期のIQは半分が遺伝で決まる
今は国立の年間学費も50万円くらいはかかりますし、そもそも受験に合格するために塾や中高一貫の私立進学校に通ったりしてお金がかかるのです。
お金に余裕がある家庭は、自分の子どもの教育にふんだんに投資できる。そして、親の気持ちにも余裕があるから、子どもの将来についていろいろアドバイスをすることができます。
一方でお金がない家庭は、日々の暮らしをどうするかで頭の中がいっぱいで、金銭的にも精神的にも「それどころじゃない」というのが現実でしょう。言い方を変えれば、今の東大生の多くは「親の金銭力なくしては東大生たりえない」ということになります。お金や環境だけではなく、「遺伝」という面から見ても「東大の子は東大」になりやすいと言えます。
行動遺伝学を専門とする慶應義塾大学の安藤寿康教授は、著書『日本人の9割が知らない遺伝の真実』(SBクリエイティブ)の中で、次のような指摘をしています。
・子どもの学力は遺伝に大きな影響を受ける
・青年期のIQの個人差は、遺伝54%、共有環境19%、非共有環境27%によってつくられている
しかも、単純に知能レベルが遺伝するだけでなく、性格的な遺伝要素も大きいというのです。たとえば、コツコツと努力ができる親の子どもはやはりコツコツ努力ができるし、飽きっぽい親の子どもは飽きっぽい。
そうしたことが相まって、高い学歴の両親を持つ子もまた、高学歴になりやすいのです。