新型コロナウイルスの感染拡大で赤字に転落する企業が続出する中、コロナ禍をチャンスに変えて株価が上昇している企業もある。経済アナリストの森永康平さんによると、勝ち組企業にはある共通点があるという。
株価がコロナ以前を超えた企業
2020年、株式市場に大きな影響を与えたのは「新型コロナウイルス」と「米国大統領選」であろう。米国のジョンズ・ホプキンス大学の発表によれば、新型コロナウイルスの感染が確認された人は世界全体で6681万人を超え、死亡者数も150万人を超えた(執筆中の12月9日時点)。
いまでこそ新型コロナウイルスに関する情報やデータは蓄積されてきたが、世界的に感染が拡大した当初は情報も少なく、未知のウイルスへの恐怖から世界中の投資家がリスク資産を現金化したことで、リーマンショック以上のスピードで株式市場が急落した。
その後は、前述のようにウイルスに関する情報が集積されていくにつれて、株式市場も平穏を取り戻し、興味の対象は米国大統領選へと移っていった。依然としてトランプ陣営の抵抗は続いているものの、バイデンで確定というのが世界的なコンセンサスになっている。政治イベントを通過して政局リスクがなくなったことで、世界の株式市場は年末に向けてブル(強気)相場を形成している。日本株市場も例外ではなく、日経平均は29年ぶり、1991年5月以来の水準まで上昇している。
株式市場の趨勢を語る際に日経平均という株価指数を引き合いに出したが、実際に株式市場を業種ごとに分けて株価の推移を見ていくと、コロナ禍においては業種ごとに明暗がはっきりと分かれている。
本稿では株価がコロナ以前を超えた企業を分析することで、将来伸びていく企業をどのように見極めるかを考えていきたいと思う。結果論と言われてしまうかもしれないが、筆者は今回のコロナ禍における明暗の分かれ方については、業種レベルでは非常に分かりやすい展開であったと考えている。