心で喧嘩をしてしまった共和党と民主党、そして民主党内部

ただ、この実行力は問題も生んだ。オバマ大統領の内政の多くは「自己責任原則」という米国の伝統への挑戦だった面が少なくないからだ。「オバマケア」で麻薬患者を保険対象としたのはその一例だろう。

酒井 吉廣『NEW RULES 米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』ダイヤモンド社
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トランプ大統領はオバマ大統領の逆を目指していった。「アメリカ・ファースト」はオバマ政権下で取り残された人に焦点を当てた政策だと歓迎された。しかし政策の180度転換は勝者と敗者を反対にするため、両者のいがみ合いは一段と深刻化し、トランプ大統領が分断の原因という見方につながった。

その点、バイデン候補はオバマ大統領やトランプ大統領のような強い個性や政策案を持たない。そしてバイデン候補の「Unite」は、両党が感情論に走ってしまった現在のような状態では、到底実現することが無理だと感じられる。

米国には「頭で喧嘩しても心で喧嘩するな」という表現がある。そして、その言葉そのものは、バイデン候補自身が現在、とても深く理解しているはずだ。心で喧嘩をしてしまった共和党と民主党、そして民主党内部の分断を、どのように「Unite」していくのか。私は、米国の分断が解消されることは、当面は難しいと予測している。

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