日大・東海大・東洋大の付属校が大人気!

さて、大学付属校に注目が集まり、中学受験生の「安全志向」が強まるのが2021年度中学入試の特徴であることを考えると、双方を併せ持った「中堅大学の付属校」が人気を博すのは当然である。

日本大学豊山・日本大学第一・日本大学第二・日本大学藤沢・東海大学高輪台・東海大学相模・東洋大学京北……これらの学校の来春の受験者数は激増し、確実に入試レベルが難化することが上記の表で理解できるだろう。

小学生保護者がわが子の将来に漠然とした不安を抱く気持ちはよくわかる。コロナの終息が見えない中にあってはその不安は増幅するばかりだろう。

しかし、「12歳の受験生」に対して、進学する大学をいま決めてしまってよいだろうか。ここは熟考すべきだろう。

安易に大学付属校を選ぶと、子供の人生が狂う

2019年末に出した拙著『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新聞出版)で、付属校選択のリスクについて次のように書いた(要約)。

矢野耕平、武川晋也『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書/朝日新聞出版)
矢野耕平、武川晋也『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書/朝日新聞出版)

<付属校に入れば、大学受験勉強に追われず伸び伸びと中高生活が送れるという話もあるが、「自由」を持て余すと学力不振に陥る生徒もおり、そうなると大学の内部進学できないこともある。高校生の途中になって慌てて他大学に向けての対策を始めても、付属校の大半はゆるやかな学習カリキュラムなので、他の大学受験生の学力レベルに追いつくのは並大抵ではない。しかも、中学入学以降、日々勉学に励む習慣を捨て去っているのだから、勤勉さを取り戻すのは困難であるといってよい>

大学付属校に進学したからといって「大学進学」が確約されるわけではないのである。このリスクについて十分に考えたうえで、付属校を目指すか否かを決定してほしいと思う。

もちろん、大学付属校ならではのよいところはたくさんある。例えば、高校入試に阻まれることなく、先取り学習をすることができる。また、早期のうちに「やりたい」ことが定まっていれば継続的に何かに一意専心しやすい。

東京都・神奈川県の中学入試本番があと2カ月ちょっとでやってくる。この1年間、コロナ禍という不測の事態に対して、苦労を重ねた親子が多いだろう。受験生が合格を勝ち取り、充実した中高生活へと足を踏み出せることを心から願っている。

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