中曽根元首相合同葬は決して高額ではない

2019年11月に101歳で大往生された中曽根康弘元首相の内閣・自由民主党合同葬儀が、20年10月17日、しめやかに執り行われた。葬儀費約9600万円を20年度予算の予備費から捻出することに一部批判があったようだが、中曽根元首相の功績を鑑みれば妥当の域を超えるものではなかったと私は思う。

中曽根康弘元首相の内閣・自由民主党合同葬儀(2020年10月17日)。
中曽根康弘元首相の内閣・自由民主党合同葬儀(2020年10月17日)。(AFLO=写真)

戦後日本の名宰相と言われると、私の頭には2人の名前が浮かぶ。田中角栄氏と中曽根康弘氏である。

私のようにバイクで日本全国を走り回っている人間には、「国土の均衡ある発展」を推し進めて、どんな田舎道も整備した田中角栄氏の偉大さが染みてよくわかる。

田中元首相といえば日中国交回復の立役者だが、内政面でも独自のアイデアを2つ実行した。1つは言わずと知れた「日本列島改造論」で、これは相当に骨太な政策構想だった。列島改造論が国土開発の基礎となって、恵まれない地方にもお金が行き渡るようになった。今や中国人をはじめ訪日外国人が「日本はどこに行ってもきれいだ」と感心するくらい、日本にとって大きな財産になっている。