個人も企業も集中と分散を

では、将来的に、日本は中国、そして人民元とどう付き合っていくべきなのか。

これは、企業だけでなく、個人にも当てはまることだが、「集中と分散を考えるべき」(柯氏)ということだ。

「今後、中国は世界の市場として大きくなることが予測されるので、その巨大マーケットを取りにいく必要があります。ただ、すべての資源を中国に一極集中させるのではなく、たとえば中国に7割、その他の地域に3割という具合に分散させたほうが無難です」

それに加えて企業の場合は、中国を「工場」として考えるのではなく、「消費マーケット」として捉えることだ。中国国内で日本製品のブランド力を高め、製品をどんどん買ってもらえるようにすべきだろう。「元が上昇すれば、中国国内の購買力も高まりますから、製品だけでなく、日本が持つ高度な技術力を買ってもらえる可能性も高まる。そのチャンスを逃さないことです」と柯氏は語る。

中国株は相変わらず投資として高い注目を集めているが、個人の資産運用においても、新興国の代表である中国だけに集中投資するのではなく、周辺国も含めて分散投資することが重要になるのは、言うまでもないだろう。