男女雇用機会均等法施行から約20年。女性の働き方は大きく変化し、企業にはさまざまな職掌が生まれた。総合職、一般職、派遣社員の女性たちに調査、そこに潜む驚愕の格差に迫った。
時給で考えたら総合職のほうが安い
「総合職の内定もたくさんとりましたが、結婚に有利だと思って一般職を選びました。500万円の年収には満足しています。総合職の同期は約2倍もらってますが、しんどそうだからそっちに行きたいとは思いませんね」
慶応大学卒業後、大手商社の一般職として働くAさんは語る。多くの女性が結婚・出産までという期限つきで一般職的に働いていた時代と違い、今は、職掌によって給与や待遇、働き方に大きな差が出ている。そこで、「総合職(管理職、非管理職)」「一般職」「派遣・契約社員」それぞれの職掌にアンケートを実施、調査を行った。
年収に関しては職掌によって大きく差がつき(図1)、派遣・契約の8割近くが年収300万円未満など厳しい格差が見て取れる。そして、年収の高さと幸福度はほぼ比例している(図3)。しかし、あと少しで年収1000万円に届くという女性の中で「不幸」と答えた人が2割以上もいた(図3)。
「一般職は9時~5時半勤務で、35歳で年収400万~500万円。時給で考えたら総合職のほうが安い! 育休は1年以上取るし、すぐ2人目を妊娠して3年近く姿を見せない一般職もいます。総合職だと半年以内に復帰しないと居場所がない。女性活用の制度のいいところは全部一般職が持っていくんです」
とため息をつくのは、商社の総合職Bさん(35歳、年収800万円)。確かに、「給与分の仕事をしていない職掌」という問いでは、「一般職」と答えた人が32%で最多(図5)。正社員一般職は今、とてもお得感のある仕事のようだ。
結局、給与に働きが見合うかどうかが幸福度に影響を与えているのだろう。総合職(非管理職)は待遇(図4)に不満が強く、労働時間に給与が見合わない(図2)と思っている割合が高い。経済的には恵まれていても、体力・精神的な不安を感じる人は多い(図4)。
「仕事中に流産した」「金融やIT業界は30歳前にぼろぼろになって辞めていく人が多い」という声もある。何よりも子育てと両立できないという危惧を多くの人が抱えているのだ。