才能がある選手が「学校の大会」のために頑張っている

高校サッカー選手権も日本の文化であり、100年の歴史を誇る伝統なので廃止にはできないと思います。ただ、世界では良い選手が16歳や17歳でデビューしてお金をもらって活躍しているのに、日本だけは才能がある選手が学校の大会のために頑張っている、という現状は世界からは理解されません。

サッカーを楽しんでいる子供たち
写真=iStock.com/Natee127
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時には日本の独特の文化が足を引っ張ることも頭のどこかに入れておいてもらえれば嬉しいかぎりです。日本が世界のトップに肩を並べるためには、この部分の改革がない限り差は埋まらないことが目に見えていますので。

高校サッカーの一番の問題は、選手に値段が付かないことです。高校サッカーで活躍しても、他の国のスカウトなどからは、彼らを競争力が高いリーグに持っていったときに活躍できるのか未知数とされてしまうのが一番の問題なのです。

18歳の選手に「約58億円」という移籍金がつく現実

たとえば、サントスからレアル・マドリードに入ったロドリゴ・ゴエス。移籍金は日本円にして約58億円でした。これが世界の市場で18歳の選手につく値段なのです。ヴィニシウスも好例の一つでしょう。17歳や18歳という年齢のときに60何億という巨額がついているのは、あのリーグであれだけ活躍できるのだからこの値段で買いましょう、という話になるからです。

しかし、日本の高校サッカーでどれだけ活躍しようとも30何億も出せるクラブはありません。学生同士のサッカーの環境でどれだけ活躍しても、ヨーロッパで活躍できるかどうかの指標にならないからです。あの何万人の熱狂的なお客さんの前で耐え得るメンタルを持っているんですか? と聞かれてもわかりません。だからお金を払えない、となってしまうのです。

高校サッカーには競争力はありません。なぜならば、学生サッカーだからです。良い選手もいます。しかし、彼らをヨーロッパに連れていったとき、あの熱狂的な観客たちがいる中で、あの激しいボディコンタクトがあり、その中でどのぐらい活躍できるかがまったく読めません。

これが高校サッカーから選手が海外に飛べない理由であり、日本が発展できない理由かもしれません。