加害者になった場合の「3つのリスク」
例えば、典型的にはBの代理人は、
・ブログの管理者等を通じて、Aの情報の開示を求める
・ブログの管理者等に、記事削除を求める
といった対応をします。また、ブログに記載されたメールアドレス等に削除請求や損害賠償請求等の連絡が来るかもしれません。
このような連絡を受けたAにはどのようなリスクがあるでしょうか。以下の3つが主なリスクと言えるでしょう。
1つ目は、損害賠償リスクです。例えば、Aの投稿がインフルエンサーによって拡散され、Bの店がゴキブリが出る不衛生な状況だとみんなが思ったために、本当にお客様が来なくなったといった場合もあり得るでしょう。
そのような場合には、Bとしては、Aに対して損害賠償を請求したいと考えるでしょう。実際にどこまでの賠償金になるか、というのは事案にもよります。弁護士が加害者側についてきちんと反論をすれば低額で抑えられることもありますが、きちんと対応しないと、特に実害がある場合には比較的高額になってしまうこともあります。
2つ目は、「身バレ」リスクです。例えば、発信者情報開示手続きによって、匿名でブログをやっていてもAさんが誰だかが分かってしまう、というリスクです。発信者情報開示請求手続においてBの請求が正当と認められると、最終的に、Bに対し、Aの氏名・住所情報が開示されます。
なお、発信者情報開示以外にも特定の方法があり、Aの過去のブログ記事をしらみつぶしに調査した結果、複数の記事に記載された情報から特定されたり、Facebookに過去のブログ記事と同じ記事を挙げていて特定されたり、といった場合もあり得ます。
3つ目は、「炎上」リスクです。Aが適切に対応しないと、この件が炎上する可能性があります。例えば、Bからの請求にAが過剰反応してBをネット上で非難するといった場合に、いわばそのような「インターネット上の中傷合戦」が面白おかしく取り上げられて炎上するといったこともあり得ます。特にAさんが社会的地位が高い方だと、炎上をきっかけにいろいろなトラブルに巻き込まれることもあります。