元常務取締役が、再就職に成功した理由
さて、ごく少数ではありますが、再就職に成功した事例もあります。
【成功例1】自分の強みを考えていた
・60才関連会社常務取締役
「親会社で言えば取締役一歩手前の役職でした。65才までは雇用延長の途もあったんですが片道1時間半の通勤をあと5年も続けるのはちょっとと思い、応募しました」
「工学部出身で現場主義だったこともあり、ここは60の手習いも厭わず現場仕事を探そうと役職・肩書無用で活動をした結果、自動車部品の開発スタッフとして平社員で再就職できました」
「いざ配属されると、そこは自分以外30才以下のメンバーばかりという別次元の職場でした」
「当然、息子以下の年齢のチームリーダーに仕えて現場仕事を始めました」
こう話していた彼が、わずか1年後の人事異動でチームリーダーに昇進しました。
決して出しゃばらず、前歴を鼻にかけない。その一方で、豊富な経験に裏打ちされた提案をし、チームのムードメーカーかつ仕事の生き字引的な存在にごく自然になっていたとのことで、人事評価でも満場一致の昇進だったそうです。
退職後、複数の会社から声がかかった
【成功例2】第三者の意見を受け入れていた
・53歳経理部長
次は、少々変わった形での成功例です。
「実は早期退職の最大の理由は住宅ローン完済のためで、あとは何とかなるだろうと気楽に考えてました」と、早期退職の理由は、一見すると感心できないものでした。しかし、彼は少年野球の監督を手弁当で長年続けており、社外の人脈はごく自然に多岐にわたっていたのです。
「でも、一応まだ在職中に子供つながりのいろいろな人たちに自分でもできる仕事は何だろうかと尋ねたり、自分の強みについては聞いてました」
「その結果、いざ退職した際に、いきなり五指に余る再就職口を紹介してもらいまして、退職後わずか2カ月で再就職できました」
「失業手当の手続き、してみたかった」と、最後はいささか噴飯ものの感想まで口にしていました。
この2人に共通するのは、自分は何をしたいのか、自分の強みは何だろうかという点を自己責任で考えたこと、または第三者からの意見を受け入れたことです。肩書や会社の知名度といった世間体や見栄を捨て去ることできが、結果的にいい出会いを手繰り寄せたのです。