血管は肌へ“美容液”を届けている
血管と見た目の老化がリンクするのは、前述の通り、血管が全身の皮膚に必要な栄養や酸素、水分を運び、同時に老廃物を回収する働きを行っているからです。
血管には、「動脈」「静脈」「毛細血管」の3種類がありますが、血管全体の99%を占めているのは毛細血管です。動脈と静脈の間をつなぎ、動脈からは栄養素や酸素、水分を受け取り、静脈へ細胞から回収した老廃物や二酸化炭素を受け渡しています。一人の人間の血管の長さを合わせると、地球2周半にもなるといわれています。
皮膚の下には毛細血管が隙間なく張り巡らされ、皮膚の機能と働きと生まれ変わりをサポートしています。そして血管年齢が若いほど、血管がしなやかに広がるため、血流もよくなって血液がより多く、皮膚のすみずみまで届くため、肌の状態も当然ながらよくなります。
つまり、血管は、体の内側から肌を美しく保つための「美容液」を届ける役目を担っているのです。
ところが加齢とともに、全身へ血液を運ぶ動脈の壁は厚くなり、硬化してしなやかさを失っていきます。これが血管の老化、すなわち動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、血流が悪くなり、肌への美容液の供給が滞るようになります。すると、水をもらえない植物のように肌はしおれ、みるみる老化する──というわけです。
40代から激減する毛細血管が「老い」を進ませる
さらに、動脈の末端につながる毛細血管も、加齢とともに減少していくことが分かっています。20代をピークに、40代から徐々に減少し始め、60代になると20代と比べ40%もの毛細血管が失われるといわれています。
つまり、単純に考えても、20代の頃よりも皮膚へ血管が届ける「美容液」が半減してしまう、ということです。
見えない血管が硬くなったり、その数を減らしたりしていることで顔が老けていく。「じゃあ自分ではどうしようもない……」とがっかりしてしまうかもしれませんが、大丈夫、安心してください。
何歳になっても血管をしなやかにしたり、毛細血管を増やしたりすることはできます。