CO2削減とともに新しい食文化に適応しよう

変わるのは、サンマだけではない。

同じく秋の味覚であるサケも、温暖化で海水温が上昇する将来は、回遊ルートが絶たれ、日本での漁獲量が激減する恐れがある。冬の鍋に欠かせない牡蠣も、温暖化で海水温が高まると、育ちにくくなる可能性がある。そして、瀬戸内海に春を告げる魚として知られてきたさわらが、それまで数が少なかった日本海の海域で大量に獲れるようになるなど、すでに産地に変化が起きている魚もみられる。

このように、温暖化が進む将来は、日本の四季折々の食卓を彩ってきた様々な食材が、激減したり、ほかの種類に置き換わったりすると予測されている。日本の「だし文化」を支えてきたコンブも、暑さが苦手な海藻であるため、海水温の上昇に伴って、いくつかの種類は消滅してしまうかもしれない。私たちが長年慣れ親しんできた日本の食文化を守るためにも、温暖化の原因となるCO2の排出削減は不可欠だ。

ごはん
写真=iStock.com/kuppa_rock
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それと同時に、私たちは環境の変化に適応して「新たな食文化」を築いていく必要があるだろう。もし将来、日本のサケが獲れなくなったとしても、海から魚がいなくなってしまうわけではない。南方系の魚たちについては、逆に増えていくと考えられる。たとえば、アイゴという魚は、関東ではあまり食べる習慣がないが、西日本では好んで食べる地域がある。こうした食文化を積極的に取り入れて、豊かな食卓を守っていく。そんな柔軟な考え方も、必要ではないかと思っている。

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