職場で信頼関係を築くにはどうすればいいのか。会員数約1500社のビジネスコミュニティを主宰する小阪裕司氏は、「私生活のささいな情報を話すといい。自己開示をすることで心の距離が縮まり、仕事にいい影響をもたらす」という――。
身の回りの出来事を話すと対話がスムーズになる
「昨日から今日にかけてあった出来事のなかで、良かったこと・新しかったことを何か見つけて、1分間で話してください」――そう言われて、今あなたの頭にはどんなことが浮かんできただろうか? 私はこの問いかけを長年にわたってセミナーなどで行い、参加した方々に語り合ってもらっているが、そこで話される内容はおよそささいなことだ。例えば、「自分は最近家庭菜園に凝っているが、昨日、新しくまいた種の芽が出た」とか「昨日までキャンプに行ってたんだけど、雨に降られなくてよかった」などのもの。話は1分、内容はその程度なのだが、例えばセミナーの冒頭でグループごとにこれを行うと、そのグループはその後のセミナー中、とてもスムーズに対話できるようになる。これは、“自己開示”の効果である。
自己開示は人と人との距離を縮める。われわれが“自己開示情報”と呼んでいるものがそこでの媒介となるが、私のよく知るお店や会社は、自己開示情報の積極的かつ継続的な発信をお客さんに対して行う。一般消費者でも、法人でもだ。狙いは、互いの距離を縮め、関係性をつくることだ。