景気の先行指標とされる電子部品の動向
コロナ以前から米中貿易摩擦により生産が落ち込んでいた中でコロナが直撃したのです。純利益では5Gの需要を追い風に半導体関連部品は10.6%増となりましたが、この部門だけでは他の損失をカバーできなかったのです。今後の見通しについて、谷本社長は「車載部品も20年6月を底に、引き合いが増え始めている」と述べています。景気の先行指標とされる電子部品の動向が注目されます。
今期通期の見通しが、純利益が前期比18%減の880億円であったとしても、今まで築いてきた強固な財務体質がここでも力を発揮しています。20年4~6月期でも現金預金を3822億円保有しているキャッシュリッチである点や、財務の健全性を表す自己資本比率は75%を維持している点も、稲盛氏の「血」を感じるところでしょう。電子部品業界は最終メーカーに選ばれる部品を生み出し続けることができるかどうかが、企業の運命に直結します。
カギとなる研究開発費用、設備投資額にも目を凝らすと、20年4~6月期研究開発費用は8%減ではあるものの173億円を投資しており、設備投資額は2.5%増の254億円と積極的にミライのための投資を行っています。また、有価証券報告書などから、今後もキャッシュを保ちながら、成長のための投資を行う姿勢に変わりはないようです。コロナ後の需要拡大局面を見据えて準備を進める京セラですが、成長軌道に戻るのはいつか。攻勢に転じるタイミングに注目です。