中小企業が顧客を獲得するために、何をすればいいか。経営コンサルタントの坂口孝則氏は「見込み客の獲得は簡単ではない。宣伝広告を活用すれば、すぐに増やせるというものではない。私自身、それに気づくには時間がかかった」という——。

※本稿は、坂口孝則『1年仕事がなくても倒産しない経営術』(ハガツサブックス)の一部を再編集したものです。

地下通路の商業看板
写真=iStock.com/Nopphon Pattanasri
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「ついでにこちらもどうですか」を徹底する

私は中小企業こそ、真剣にアップセルとクロスセルを徹底しなければならないと考えている。アップセルは、上位商品を勧めること。クロスセルは他商品のついで買いを勧めること。いわゆる、ファストフード店における「ついでにポテトもいかがですか」だ。

アップセルも、クロスセルも、多くのお客は「不要です」という。それでいい。もしかすると、声をかけた1割しか反応してくれないかもしれないが、逆に言えば1割もの顧客が客単価を上げてくれる。これは恐ろしい変化だ。

どんなビジネスであっても、アップセルとクロスセルを試行錯誤しなければならない。私は飲食店でも小売店でも、店員がなぜもっと売ってこないのか観察している。もちろん、強引に売れというわけではなく、自然な形で「もう一品、これはどうですか?」「+100円で大盛りにできます」「さらにこの商品が合います」と提案すること。

さらに意外と大切なのが「ほかに気になるものありますか?」ではなく、具体的に勧めることだ。たとえば衣類店で「ほかにご覧になりたいものありますか?」と聞かれても特にない。具体的に「これがいいですよ」と見せてほしい。