ロスジェネ世代の不満解消のために企業が取りうるもう1つの道は、給与体系を一本化することである。ダブルスタンダードを解消して平等な給与体系に改めるのである。

問題はどのように改めるかだが、このご時世に企業が人件費を増やす方向で給与制度を改めるはずはないから、さや寄せするとすれば、間違いなくロスジェネ世代の方向へ、ということになる。つまり、全体的に給与水準を引き下げるのだ。こうした傾向は、すでに定期昇給の廃止や頭打ちという形で表れている。

企業がこうした対策を取れば、ロスジェネ世代の中には若干給与がアップする人が出てくるかもしれない。しかし、上の世代の給与は間違いなく、下方に向けてシフトすることになる。

いま、ワークシェアリングという言葉がもてはやされているが、私流に翻訳すれば、首切りをしないかわりに、全体的に給与を引き下げますよということにほかならない。ワークシェアリングの発想をさらに突き詰めていけば、同一労働・同一賃金という地点にまで到達することになる。同じ仕事をする人には、同じ賃金を支払うという考え方だ。

ここまでいくと、年齢の高い低いは給与と一切関係なくなる。時給いくらのパートタイマーと同じことだ。首は切られない代わり、年齢が高くなっても一向に給与は上がらない。年功序列型賃金体系が完全に崩壊した暁には、こうした状況が当たり前のことになるだろう。

いずれにせよ、現在の高額所得者を待ち受けている未来は、決して楽なものではないのだ。今年のゴールデンウイークは12連休だ、16連休だという声をあちらこちらで聞いたが、バブル崩壊後に流行した、一時帰休という言葉を連想したのは私だけではないだろう。長期休暇を取得できるということは、裏返せば、仕事が激減していることの証しである。読者が、まったく場違いな職場への異動辞令を受け取り、“自主的に”退職願を書く日は案外近いかもしれないのだ。

(構成=山田清機)