韓国の輸出依存度は日本の倍以上
韓国経済を考える重要なポイントは輸出の動向だ。言い換えれば、韓国経済は外需に依存している。輸出が増加基調にある場合、韓国の社会と経済に大きな問題が生じることは少ない。反対に、輸出が減少すると、韓国経済の不安定感は高まりやすい。
韓国経済にとっての輸出の重要性を確認するために、かんたんにその歴史を確認しておこう。1965年、故・朴正煕(パク・チョンヒ)政権下の韓国はわが国との国交を正常化し、日韓請求権協定を締結した。その中で日韓は過去の請求問題が最終的に解決されたことを確認し、わが国は韓国に総額5億ドルの経済支援を行った。
その後、サムスン電子をはじめとする韓国の大手財閥企業はわが国の技術を吸収し、世界経済の変化に合わせて汎用品を大量生産し、低価格で輸出するようになった。それが、輸出主導型の経済運営を支え、1964年に約5%だった韓国の輸出依存度(GDPに占める輸出の割合)は2012年に54%に達した。輸出依存度が高いため韓国の内需は厚みを欠く。
リーマンショック後も、韓国は中国の自動車需要などを一気に取り込み、比較的短期間で景気回復を実現した。現在、韓国の輸出依存度は40%程度に低下したが、15%程度であるわが国の輸出依存度などに比べるとその水準は高く、輸出が経済を左右する基本構造に大きな変わりはない。
今の状況で落ち込んだ景気の回復は期待できるのか
問題は、今回も韓国が過去同様の景気回復を期待できるか否かだ。年初来の世界経済を振り返ると、新型コロナウイルスの感染拡大によって景気は一時大きく落ち込んだ。その後、4月中旬ごろに世界経済は底を打った。
ただし、7月に入ってから持ち直しのペースは鈍化している。その背景には、米中対立の先鋭化や世界的な感染の再拡大、および米国の経済政策への不安上昇などがある。感染の再拡大によって各国は自国内の要素に頼った経済運営を余儀なくされ、米中対立はサプライチェーンを混乱させるだろう。
世界全体で貿易取引は低迷、あるいは減少する可能性がある。現状、これまでのように韓国が輸出に頼って経済の安定と成長を目指すことは難しくなっていると考えられる。