旧態依然の日本企業が突然IT化を求められた。そのとき人事部はどう動いたか。そして炙り出された、いらない社員とは。
自宅から仕事をする。COVID-19コロナウイルスの流行の病気の伝染を広めることを避けるために、人々は自己分離の間にラップトップコンピュータを介して複数の同僚とのビデオ会議を行います。
写真=iStock.com/asiandelight
※写真はイメージです
建設さん:建設業人事部長。自粛中にネトフリをお試しの1カ月でやめるはずが、退会し忘れている。
広告さん:広告業人材開発部長。電通のトンネル会社問題に「うちもそんな経営体力があればなぁ……」。
サービスさん:サービス業組織開発部長。妻もリモワで家では険悪。コロナ離婚の危機で出会い系アプリを開始。
ITさん:IT業人事担当役員。「支援だ」と行きつけの店でボトルを入れ、インスタでドヤるのがマイブーム。

自粛明け1日でうつ病になる社員

――緊急事態宣言解除以降もリモートワークを続けている企業も多い。皆さんの会社ではコロナ前と違ってどんな問題が発生していますか。

【建設さん】8割出社制限から今は週3日出社、2日在宅に変わり、しかも電車の混雑を避けるためスライドワーク(時差通勤)になっている。机も斜め横に離して密を避けている。コロナ前は定時に全員揃っていたが、今は出社や退勤もバラバラ。風景が全然変わった。以前は4時頃に部下が帰ると「具合でも悪いのかな」と思ったけど、ああ、スライドね、と何も言わなくなった。

【広告さん】当社も2020年6月から週2~3日は在宅という50%ルールを目標に在宅勤務を維持するように各部門に周知している。ところが自粛明け初日は待ってましたとばかりに一斉に出社してきた。2カ月近く在宅だったからしかたがないけどね。驚いたのは出社2日目に「うつ病で仕事ができません」と医師の診断書を持ってきた40歳の男性社員がいたこと。コロナ鬱とか在宅鬱と言われるが、在宅が長すぎたせいなのか、原因がよくわからない。家庭で病気の原因になる何かがあったとは想像できるけど、今までにないことだし、増えたら本当に困ると思った。

【サービスさん】在宅勤務といっても家族持ちは結構大変だよ。とくに夫婦仲が悪い場合は最悪。ある部署の男性は夫婦共働きなんだが、たまたま奥さんも在宅勤務で、朝起きて家にいるといきなり「あんた、なんで家にいるの?」。その後、どっちが家を出ていくかでしょっちゅうケンカになるらしい。