ディクテーションとシャドウイング

フォニックスは主にスピーキング用の勉強でしたが、会話は、こちらから話すと同時に相手の発言を理解することができて初めて成立するものです。

しかし、何度も読み返したり辞書を引いて調べたりできるリーディングと異なり、単なる音の塊を英語の文章として捉えなければならないリスニングに苦労されている方も多いのではないでしょうか。

そこで重要なのが、ディクテーション、すなわち、聞いた言葉を紙に書き取るトレーニングです。大学入試等のリスニングテストでは、音声で流れる英文をそのまま解答欄に書くよう指示される問題がありますが、自分が勉強する際にも、それを延々と繰り返しました。

これと似たような勉強法に、聞いた英文をすぐその場でまねして発音するシャドウイングという勉強法があります。ですが、初期段階でシャドウイングから入るのはかなり難しいと思います。自分が繰り返した言葉が本当に合っているのかの確認ができず、英語能力の向上に直結しにくいからです。

ディクテーションの場合は、自分が聞き取った内容を紙にしっかりと残すので、第三者からのチェックも受けやすいですし、文法やスペル、単語選択等のミスについても、自分で気づくことができます。

ディクテーションを続けると、単なる音の塊が、それぞれ意味を持つ英単語にきちんと分節されて、相手の話した内容が理解できるようになります。

全てのスキルを一度で鍛える「話しながら」のディクテーション

それでもシャドウイングを取り入れたいという方にオススメなのは、私も実際に行っていた方法なのですが、「話しながら」ディクテーションをするという方法です。小さい頃、学校から家に帰ると、母親が英語の例文が流れるCDを流していました。そこで、聞こえた英文を逐一書き留めていたのです。流れる音声が速い際は、母親が途中でCDを止めたり、巻き戻して何度か同じ英文を流したりして、スペルミスしなくなるまで、何度も同じ英文を書き取っていました。その際、自分が書いている文を小さい声で復唱していたのです。

「話しながら」ディクテーションをすることで、語学学習で網羅しなければいけない全てのスキル(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)を一度に鍛えることができます。具体的には、CDから流れてくる英語を聞くことで、リスニングの力がつきます。そして、その英語を書き取ることで、ライティングの力がつきます。さらに、その書いている英語を小声で復唱することで、リーディングとスピーキングの力もセットで養えます。

“The post office is across the street.”語学学習において必要となるスキルを一度に用いて、頭をフル回転させて勉強をするからか、自分でも驚きですが、その際書いて覚えた英文は今でも鮮明に覚えています。

私は子供の頃に母親に手伝ってもらいながら行いましたが、最近は、Netflix等を活用することで、英語音声を書き取った内容が正しかったか、自分ひとりで答え合わせしやすい環境が整ってきています。