外交・経済面で安倍政権の功績は大きいが
長い長い前振りだったけど、安倍さんはこのまま総理の任期を来年の秋に終えて、政治家人生を完全燃焼できたと思えるだろうか。
確かに賛否両論があるにせよ、安倍さんの功績はたくさんある。国際社会において日本がかつてないほど存在感を示したこと、トランプ米大統領との個人的な信頼関係を築き、平和安全法制によって日米同盟をかつてないほど強固なものにしたこと、金融緩和によって従前よりも経済をよくしたこと、そして2度の消費税増税。
僕は今の時期の消費税増税には反対だが、消費税増税をやれば内閣が必ずつぶれると言われている中で、安倍さんは2度も増税を断行した。これはある意味、凄いことだ。
その他の功績もあげれば色々あるだろうが、それでも安倍さんは、このような功績だけで政治家人生を完全燃焼したと感じるだろうか。
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「政治家は国民のために働く存在なのだから、それでいいんだ」とインテリたちは言うだろう。
しかし政治家といえども所詮人間だ。24時間365日、国家のリーダーとしての責任を問われ続ける。災害が生じた際の遅れは国民の生命にかかわることなので、特に台風の季節などは、毎日気が抜けない。
大阪府知事、大阪市長のときには、大阪が台風にかかるかどうかを常に気にしていた。家族旅行を予約していても、危ないなと感じればキャンセルを検討する。
日本全体を預かる首相の立場ともなれば、どれほどの緊張の毎日か。
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また大阪のリーダーだった僕にすら殺人予告などはかなり来ていたので、首相ともなると、その数も質も大変なものだろう。24時間、多くのSPに守られる代わりに、完全に1人になれるプライベートな時間はほとんどないだろう。
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首相の下には、霞が関の超優秀な官僚がさんざん議論した上でも判断がつかないような超難案件が次々と上がってくる。それにどんどん判断を下さなければならない。新聞の論説委員や学者のように時間無制限で延々に考え続けることができる立場ではない。
妬み嫉みの渦巻く永田町、国会議員との人間関係を築くには、面倒くさい付き合いをやり続けなければならない。議員のパーティーに呼ばれたり、議員の選挙応援に出かけたりで全国を駆け回る。
こんなことをしながら、国民の懐をあたためることだけで、安倍さんは政治家人生を完全燃焼したと感じるだろうか。
僕はそうは思わないし、安倍さんにもそう思わないで欲しい。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.209(7月28日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【安倍政権「最後」の総選挙(3)】安倍さんも政治家人生の完全燃焼を! 僕や松井さんが大阪都構想「大勝負」で学んだこと》特集です。