「家計再生」+「3000円投資」を実践

それから8年。長女を無事私立中学に進学させるだけでなく、いまでは田中家の総資産は1230万円になりました。

田中家は何をしたのか。私が提案した通り、支出を「消費」「浪費」「投資」に分けてしっかり管理し、お金を3つの口座(「使う(生活費)」「貯める(貯蓄)」「増やす(投資)」)に分けるようにしただけです。毎月の支出は夫の収入でやりくりすることとし、しかも黒字化して毎月貯金ができるようにしました。

同時に、3000円から低コストの投資信託で積立投資をスタート。2年目からは、半年ごとに積立投資の投資金額を増額することにしました。3年目には月収7.5カ月分の貯金ができたので、それ以降は、黒字分をほぼすべて積立投資の原資にしていきました。

このようにして、「家計の再生」と「資産を増やす」ことに同時に取り組むことで、8年たって気がつけば、110万円だった資産が1200万円を超えるまでになったのです。子どもたちの大学の学費も、老後資産も、この調子で資産を増やしていけばなんとかなりそうです。

「子どもの教育費が準備できて、住宅ローンの返済も当初の予定から5年短縮できた」と、田中さん夫妻は喜んでいました。

「三位一体のバランス」を見つめ直そう

田中さん一家の事例は特別なものではありません。本稿の冒頭で、これまで相談を受けてきた2万人以上のうち、いまでは1000万円以上の資産を作っている人が1万5000人は下らないと書きましたが、最初は貯金がなかなかできず、投資なんてとてもとても……という人ばかりでした。

貯蓄時間
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まずは収入/支出両面のバランスをとって家計の見直しに取り組み、「貯金体質」になることを目指しましょう。そのうえで、すぐに使う予定のないお金があるのなら、運用(積立投資)にも挑戦していきましょう。

これからの時代は、何もしなければ貧困に陥ってしまうリスクと向き合う必要があります。そうした事態を避けるために、①働いて収入を増やすことをめざしながらも、②同時に支出をコントロールし、さらには、③余裕資金で運用に挑戦する。

そうやって「三位一体」でバランスよく家計再生に取り組むことが求められるし、それができた人だけが、「何があっても大丈夫な強固な家計」を作れるといえるのです。