4月の東京のコロナ死は104人だが、全死亡者数は例年より1000人多い
コロナ対策についても同じことが言えるのではないか。
コロナの感染拡大を防ぐため、国を挙げて「予防」にカネとマンパワーを投入することは構わないが、その対策のために他への目配せがおろそかになってしまってはいけない。
ちょっと古い話になるが、6月12日付の日本経済新聞が衝撃的なニュースを報じていた。
4月7日に、安倍晋三首相により非常事態宣言が発出され、13の都道府県が「特定警戒」地域に選ばれた。だが、本年4月の死亡者数は、人口月報を発表していない北海道を除く、12の都府県のうち11都府県で過去4年間の4月の死亡者数を上回っていた。
埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の7県では、過去4年の平均死者数を10%以上も上回っていた。たとえば千葉県では過去4年の平均を15%も上回っていた。
東京都の場合、過去4年の平均より1056人も死者数が多かった。4月の東京都のコロナ感染による死者数は104人だった。ということは、その10倍以上が、なんらかの理由で過去4年の平均より多く死んでいることになる。
この数字を見た医療従事者の中には、「新型コロナによる死者数を過小評価している可能性は否めない」と指摘し、超過死亡と推測される死亡者1000人の一部には、新型コロナの診断を受けられないまま亡くなった人が含まれている可能性があると推測する人もいる。ただ、コロナの公表される死者数の10倍という数字は、その数として大きすぎるとしか思えない。
筆者は、非常事態宣言発出前の3月には、このような超過死亡は出ていなかったことから、「外出の大幅な制限」が心身になんらかの重大なダメージを与えた可能性も十分にあり、コロナ関連死と考えることもできると見ている。コロナの感染予防にこだわったことが、全体の死者数増加に影響を与えたとすれば、残念なことである。
現在、さかんにコロナの新規感染者が200人を超えるような日が続いているという報道があるが、2週間ほど死者が出ていないということはほとんど報じられない。感染を防ぐという手段のほうは予定通りいっていないが、目的のほうはうまく達成されていると考える姿勢も必要なのではないだろうか?