【金子】弁当の世界にも、スケールメリットが如実に反映しています。
【藤川】私は、オリジン弁当よりHottoMottoですね。なんといっても、ここの手羽から揚。八本も入って260円。これだけでビール4、5杯はいけます。極めてCPが高いですよ。
【金子】弁当の場合、直営かフランチャイズ(以下、FC)かで原価構造が大きく変わります。FCの場合、原価にロイヤルティーが含まれる分CPは悪化すると考えられます。また、コンビニの場合は物流コストが高く、これも原価に上乗せされる。そう考えると、実はスーパーの弁当がもっともCPが高いと考えられるのです。直営系のオリジンをイオンが買収したとき、あまりの原価率の低さにイオン側が驚愕したとさえいわれています。すでにイオンがオリジンのノウハウを吸収したと考えると、現在、日本で最もおトクなのはイオンの弁当ではないかと推測されます。私、FCに対し、ちょっと懐疑的なんです。だって本当に儲かる商売なら、直営でやるはずですから。
【森永】スーパーっていえば、西友の7900円スーツが気になるんだ。試したいんだけど、僕、B体だから残念ながらサイズがないんだよね。
【金子】西友の7900円スーツにはウォルマートによる買収効果がいい形で表れていると思います。Georgeという、ウォルマートの英国子会社のブランドですが、縫製は中国。グローバル調達によるコストダウン効果が出ていますね。私は実際に買ってみましたが、西友、侮れません。
【森永】僕は、洋服の青山で買うんだけど、年に数回、元旦とかに半額セールやるんだよね。そのときまとめ買いする。
【金子】スケールメリットなら、やはり青山でしょうね。紳士服量販各社が中国生産を開始して約30年ですが、当初の10年は、品質、デザインともに厳しいものがあった。ここ10年でやっとノウハウが確立し、安くてデザインも着心地もいいものが作れるようになったそうです。
【藤川】私の今日のファッションは、ジャケット、シャツ、パンツ、すべてユニクロですが、全部足して1万円弱です。ユニクロが男性スーツに進出したらすごいことになると思いますね。
【金子】おっしゃる通り! いま、スーツもファストファッション化していて、ワンシーズン着たらもう着ないという人が増えている。メーカー側も、毎年、襟の形を微妙に変えたりして、計画的陳腐化を図っています。それゆえ、去年買ったスーツは、なんとなく野暮ったく見えるのです。環境保護には反するのでしょうが、スーツも使い捨ての時代が来るかもしれません!
※すべて雑誌掲載当時