人は日々、無意識のうちに商品やサービスを選択している。おトクな選択をするためには何に着眼すべきか。コストパフォーマンスの3達人が“コスパ”の仕組みを激白する。

森永卓郎●獨協大学経済学部教授
1957年、東京都生まれ。80年東京大学経済学部卒、日本専売公社(現JT)入社。2006年より現職。近著に『年収復活!』『モリタク流ポイントカード徹底活用術』など。

金子哲雄●流通ジャーナリスト
1971年、千葉県生まれ。94年慶應義塾大学卒。ジャパンエナジー(現・新日鉱ホールディングス)などを経て独立。近著に『「値切り」のマジック』『超三流主義』など。

藤川 太●生活デザイン代表取締役
1968年、山口県生まれ。93年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。マツダを経てFPとして独立。近著に『貯まる!資産3倍手帳』『20代から始めるお金の設計』など。

――さて、CP談義も佳境に入ってきましたが、森永さん、ワケあってCPが高いという商品はあるでしょうか。

【森永】僕がこの世で一番おトクだと思うのは、ローソンのお試し引換券だね。これはポイントじゃないと買えないんだけど、ペットボトルが40ポイント(=40円相当)で買えたり、高価な栄養ドリンクが10分の1ぐらいの値段で買えたりするのね。メーカーの協賛でやってるらしいんだけど、難点は、数量限定だから、確実にゲットしようと思ったらリリースされる日の午前零時に並ぶ必要があるってこと。リリースのカレンダーがローソンのウェブサイトに載ってますよ。

【藤川】“12月に1棟だけ売れ残っている分譲住宅”は、買い方次第でものすごくCPが高くなります。一般的に、不動産の価格は定価だと思われていますが、これは間違い。あれはあくまでも不動産会社の希望小売価格なのです。不動産会社としては、3月末の決算までに物件を完売してしまいたい。ですから、12月頃に売れ残っている物件の場合、大幅な値引き交渉に応じてくる可能性が高い。少々知識が必要ですが、原価と上乗せ利益を推定して、ギリギリ利益が出るぐらいの価格を買い手が指し値するのです。不動産会社は先に売れた物件で十分な利益を出していますし、年度内に売りたいと焦っています。鋭い指し値を入れれば、物件にもよりますが、1000万円近く値引きできるケースがあります。