翌日、起きたら朝10時。

 「しまったホンダの取材が!」

場所は神奈川県なので絶対間に合わない。急いでライターさん、カメラマンさんに電話して同席できない旨を伝える。

 「本当に申し訳ないです!」

特にカメラマンさんは仕事にはとても厳しい人なので、とにかく謝る。もう少し前倒しで第II領域の仕事を進めていたら起きなかったミスだけに悔いが残った。

トラブルも数知れずあったが、無事2004年5月10日に雑誌が発売され、1週間後の17日に単行本も書店に並べることができた。特に単行本は好調に売れ続け、現時点で23刷・12万部を突破。2004年上半期ビジネス書ベスト1(日本橋丸善、イーエス・ブックス)になりテレビや新聞にも取り上げられた。

 「トヨタの張社長は『人間の能力は無限大だ』と言っているぞ! しかもタダである!(最後の言葉はF編集長が独自に付け加えたもの)」

F編集長の檄は今日も飛び、となりに座る後輩のYは現在、雑誌の仕事、別冊の仕事、そして単行本の仕事と「ノルマ3倍状態」。後輩のYにもぜひこの“十字架”を渡して編集部内の「時間の伝道師」になろうと思った私だった。

※肩書きなどはすべて2004年当時

(図版作成=吉田華枝)